爽やかなイケメンくんに翻弄されています。
そんなことをしているうちに、下校を知らせるチャイムが鳴った。
「あ。もうこんな時間か。」
一ノ瀬くんが呟く。
時間が経つのが早いな〜。
と思いながら、机の上に乗っているノートを見る。
ノートは真っ白で、何も勉強していないことを物語っていた。
一ノ瀬くんと話してて全然勉強できなかった!
しかも、ちゃんと教えてない!
「一ノ瀬くん、ごめんね。全然勉強教えられてなくて……。」
最初は、自信が無いから教えるのは嫌だった。
けど、せっかくわたしに頼ってもらえたのだから頑張ろうと思っていた。
だから、ほんの少ししか教えることが出来なかったことに項垂れる。
「いやいや、ひよりちゃんのせいじゃないよ!俺がひよりちゃんにちょっかい掛けたり、話し掛けたのが悪いから。」
一ノ瀬くんは慌てたように言った。
「ひよりちゃんは全く悪くないから、謝らないで。」
「でも……。」
一ノ瀬くんはわたしを慰めるように、わたしの頭にポンッと手を置いた。
一ノ瀬くんはまたこういうことを平気で……!
突然、頭をポンポンと優しく撫でられてびっくりする。
でも、その優しい手つきがなんだか心地よくて無下に振り払うことが出来なかった。
「じゃあ、明日はたくさん教えて?」
優しい顔をして一ノ瀬くんが微笑む。
「わかった。明日はもっと教えられるように頑張るね……!」
とわたしは元気よく返事をした。