きみと溶ける、深海まで
青春・将来・恋・友情
「あっつ……」

太陽の直射日光。

梅雨が明けて七月も下旬に入った。
暴力的な気候。
皮膚がもう一枚張り付いたみたいな鬱陶しい湿気。
一瞬でも外気に触れるとみるみるうちに束になっていく前髪も不快。

額から頬へと流れていく汗が目尻から目薬みたいに入ってしまわないようにハンカチで拭う。
お気に入りのひまわり模様のハンカチにちょっとファンデーションの染みができて、
これも不快だった。

「なー、聞いてんの?」

通学路を学校に向けて歩きながら(すい)が私の顔を覗き込む。

間宮翠(まみやすい)
私と同じ十六歳。
って言っても八月に誕生日を迎える私はまだ十五歳だけど。

翠は七月に入ってすぐ、十六歳になった。

双子らしい。

″双子のお兄さん″は隣町の超進学校に通っている。
その学校を知らない人なんて少なくとも県内にはいないと思う。

うちだって偏差値はそこそこだけどレベルは全然違う。
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