きみと溶ける、深海まで
ホテルの部屋にそれぞれ荷物を預けてから支度をして、ロビーで再び待ち合わせすることになった。

一日目は間宮グループ一押しの大型レジャープールと迷ったけれど、
夏はやっぱり海!ということで海で遊ぶことになった。

翠の話だとプールはオフシーズンには温水に変わって、季節問わず楽しめるらしい。

「じゃあまたみんなで来れる口実ができたね!」って、グミちゃんが大親友のような笑顔で言った。
かわいい。

用意してくれていた客室は、とても高校生が一人で泊まれるような部屋じゃなかった。

大きな窓からは目の前のビーチが一望できる。
真っ白のレースカーテンがヤケに大人びて見える。

ベッドはダブルサイズで清潔感溢れる、これまた真っ白のシーツ。
ボリュームたっぷりの大きめの枕。

外からの陽射しがキラキラと差し込んで、一人には広すぎる空間に神聖さを醸し出している。

「こんなのいくらすんのよ……」

独言る声は誰にも届かずに消えていく。

キャリーケースからビーチバッグを取り出して必要な物を詰めていく。

水着、タオル、日焼け止め、スマホを保護する防水ケース。
お金は必要最低限だけを小さいウォレットケースに移した。

ここに来るまでに履いていたサンダルはこのまま置いていく。
持ってきたビーチサンダルを用意した。

少し考えてから、ゆっくり着替える時間はないかも、なんて思って、
日焼け止めをしっかり塗ってから水着を着て、もう一度さっきまで来ていたワンピースを羽織った。

これでモタモタしないで済むはずだ。
< 13 / 86 >

この作品をシェア

pagetop