きみと溶ける、深海まで
「すなお、楽しい?」
グミちゃんと巫女ちゃんは男子達と砂のお城を作っている。
知らない子ども達も何人か集まっていて保育園の遠足みたいになっている。
ビーチに建てられたパラソルの下で休んでいたら
翠がサイダーを買って来てくれた。
「うん。楽しい」
「それはよかった」
「ほんとうに、楽しいよ。来てよかった。でもね」
「でも?」
「なんでだろ。これが終わったらまたただのクラスメイトに戻るんだろうなって。自分の笑い声が鼓膜に届くたびにふと現実に連れ戻される。だめだね」
「ほんと、だめだな。すなおの悪いとこ」
「ふふ」
「なに」
「翠は、いい。だめだって、悪いってちゃんと言ってくれるから」
「好きだからだよ」
「はいっ!?」
「すなおのこと、好きだから。だめになって欲しくない」
「なにそれ…」
どういう意味で言ってんの、なんて思ったけれど聞かなかった。
翠はこういう奴だ。
それに、なんでだろう。
切り離したはずの藍くんの顔がよぎって、
そのたびに心臓が重たくなる。
こんな風に、翠と居る時みたいには、できない気がした。
グミちゃんと巫女ちゃんは男子達と砂のお城を作っている。
知らない子ども達も何人か集まっていて保育園の遠足みたいになっている。
ビーチに建てられたパラソルの下で休んでいたら
翠がサイダーを買って来てくれた。
「うん。楽しい」
「それはよかった」
「ほんとうに、楽しいよ。来てよかった。でもね」
「でも?」
「なんでだろ。これが終わったらまたただのクラスメイトに戻るんだろうなって。自分の笑い声が鼓膜に届くたびにふと現実に連れ戻される。だめだね」
「ほんと、だめだな。すなおの悪いとこ」
「ふふ」
「なに」
「翠は、いい。だめだって、悪いってちゃんと言ってくれるから」
「好きだからだよ」
「はいっ!?」
「すなおのこと、好きだから。だめになって欲しくない」
「なにそれ…」
どういう意味で言ってんの、なんて思ったけれど聞かなかった。
翠はこういう奴だ。
それに、なんでだろう。
切り離したはずの藍くんの顔がよぎって、
そのたびに心臓が重たくなる。
こんな風に、翠と居る時みたいには、できない気がした。