きみと溶ける、深海まで
「もーいいだろっ!あー腹減ったな、早く昼飯食おうぜぇー」

「そうだな。何食べたい?今日は藍さんの奢りなんでぇ」

翠が胡麻を擦るようなポーズで藍に擦り寄った。

「くっつくな、暑い」

翠を引き剥がしながら「行こうか」ってみんなに微笑みかけた。

行くって、どこに?

見て取れるくらいに、みんなおんなじ感情を持っているに違いない表情をしている。
歩き出した藍に、翠だけが「お!まさか、まさかですか!藍さん!」って茶化し続ける。

うるさいなぁって言いながら、藍だって楽しそうだった。

ぽかんとしたまま双子の背中を追って、
私達はテーマパーク内のお土産物屋さんや宿泊客用のホテルが立ち並ぶエリアに連れてこられた。

「ここのコースランチが絶品なんだ」

藍が右腕をゆるやかに動かして、
私達を中へと促した。

ホテルにはイタリアンレストランがあって
宿泊をしなくても利用できるらしい。

SNSで何度も見かけたことがある。

誕生日や記念日にはここのランチやディナーが憧れらしい。
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