きみと溶ける、深海まで
「明日は一日中寝ちゃいそうだなー」

「俺も」

「あー……宿題ゆううつ。やだな、現実って」

自分の声と、建設予定地で藍が言った″当たり前の日常の中に幸せがあれば、″あー明日からまた現実だー、戻りたくなーい″なんて現実逃避もしないで済むからね″って声がリンクした。

「ヤだよなぁ。最悪の場合はすなお、よろしくな」

「何よ、最悪の場合って」

「溜め込んじゃった場合」

「なに言ってんの。翠がムリなら私なんてもっとムリに決まってんじゃん」

翠が笑った。
声を押し殺すような笑い方だった。

「宿題も大事だけどさ」

「うん」

「また遊び行こうな」

「うん……」

「これも、すなおの現実だよ」

「ありがとう」

翠は深く吸った息を、長く吐き出した。

「俺ってイケメンじゃん?」

唐突に言った翠の顔は笑っていなかった。
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