きみと溶ける、深海まで
「どうしたの二人とも……浴衣、すごく可愛いね。神様みたい」

「ふふ。なにそれぇー。ごめんねぇ?旅行の時にはもう決まってたから誘えなくってさ……」

「えっそんなこと全然!」

「来年は一緒に行こうよ。クラスが離れてたとしてもさ」

巫女ちゃんが言った。

来年は一緒に?
クラスが離れても?

そんなちょうど一年後の約束を疑心暗鬼にならずに信じ続けられるメンタルが自分にあるとは思えない。
それでも当たり前のことみたいに言ってくれた言葉が嬉しくて。
信じたくて。

友達、って呼ばせて欲しくて。

「ありがとう……。でもなんで?どうしたの?」

もう花火が終わってしまった空をグミちゃんが見上げて
「来年の前に、手持ち花火もいいね」って言った。

「間宮くんから連絡来たんだよ」

巫女ちゃんがスマホを振る。
翠がちょっと気まずそうに視線を逸らした。

「翠が?」

「″もし花火の後、時間あったら買ってきて欲しいものがある″って……」

「じゃーんっ!!!」
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