ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
12・デートと挨拶
『夜までには戻るから』
朝帰りなんてしたら、間違いなく相原兄妹と喧嘩になる。
どうせ揉めるくらいなら、朝っぱらよりも夜に話し合う方がいいだろう。
そう考えた私は二人へ心配する必要はないのだとメッセージを送ると、慎也さんとデートをすることになった。
「総支配人……」
「今日は休日。プライベートだ」
彼は低く唸るように、役職名で呼ぶのはやめてほしいと釘を差してくる。
下の名前を咄嗟に職場で呼んでしまうくらいなら、プライベートでも日常的に総支配人と呼んでいた方がいいと思うのだけれど……。
「婚約者同士は、名前で呼び合うものだろう?」
「こ……っ!?」
婚約者、なんて。
馴染みのない言葉が当然のように紡がれてしまえば、私がわがままを言っているようにしか聞こえなくなるのはなぜなのだろう。
なんだか納得がいかない気持ちでいっぱいになりながらも、極力慎也さんと呼びかけることに決めた。
「夫婦と言った方が、よかっただろうか……」
「き、気が早すぎます……!」
「想いを通わせ合っているのだから、そこに早いも遅いもないだろう」
「でも……っ。もう少し、ゆっくり……!」
「悠長なことなど言っていられない。虎視眈々と君を狙う獣が、そばにいるのだから」
「獣って……」
それって、渉のことよね……?
朝帰りなんてしたら、間違いなく相原兄妹と喧嘩になる。
どうせ揉めるくらいなら、朝っぱらよりも夜に話し合う方がいいだろう。
そう考えた私は二人へ心配する必要はないのだとメッセージを送ると、慎也さんとデートをすることになった。
「総支配人……」
「今日は休日。プライベートだ」
彼は低く唸るように、役職名で呼ぶのはやめてほしいと釘を差してくる。
下の名前を咄嗟に職場で呼んでしまうくらいなら、プライベートでも日常的に総支配人と呼んでいた方がいいと思うのだけれど……。
「婚約者同士は、名前で呼び合うものだろう?」
「こ……っ!?」
婚約者、なんて。
馴染みのない言葉が当然のように紡がれてしまえば、私がわがままを言っているようにしか聞こえなくなるのはなぜなのだろう。
なんだか納得がいかない気持ちでいっぱいになりながらも、極力慎也さんと呼びかけることに決めた。
「夫婦と言った方が、よかっただろうか……」
「き、気が早すぎます……!」
「想いを通わせ合っているのだから、そこに早いも遅いもないだろう」
「でも……っ。もう少し、ゆっくり……!」
「悠長なことなど言っていられない。虎視眈々と君を狙う獣が、そばにいるのだから」
「獣って……」
それって、渉のことよね……?