ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
状況を飲み込めず彼の腕に抱きかかえられたまま、視線を彷徨わせていれば。
オーナーの視線が、私へと向けられる。
「香帆さん、だったかな?」
「は、はい!」
「香帆の名前を気安く呼ばないでくれ」
「見ての通り、独占欲の強い息子だけど……。君は慎也のことを、どう思っているんだい?」
「私は……」
素直な気持ちを伝えてもいいのか、凄く迷った。
ホテル・アリアドネは社内恋愛が禁止だから。
オーナーは当然、同じ職場で働いていることを知っている。
就業規則を破った罰として、辞めろと言われるかもしれない。
――それでも。
私がここで嘘をつけば、慎也さんが一方的に片想いをしているだけの扱いとなって――お見合い結婚をさせられてしまうのなら。
見知らぬ誰かに、奪われるわけには行かなかった。
「慎也さんのことを、お慕いしています」
「どんな所が好き?」
「無言で、日本酒を飲む横顔……」
「ははっ。あはは! 勤務態度じゃないんだ? こりゃ、一本取られたなぁ!」
「父さん」
頬を赤く染めながら思い切って正直に答えれば、オーナーから大笑いされてしまった。
これには慎也さんも黙っていられなかったようで、仕事モードからプライベートモードに切り替えて非難するように名前を呼んでいる。
オーナーの視線が、私へと向けられる。
「香帆さん、だったかな?」
「は、はい!」
「香帆の名前を気安く呼ばないでくれ」
「見ての通り、独占欲の強い息子だけど……。君は慎也のことを、どう思っているんだい?」
「私は……」
素直な気持ちを伝えてもいいのか、凄く迷った。
ホテル・アリアドネは社内恋愛が禁止だから。
オーナーは当然、同じ職場で働いていることを知っている。
就業規則を破った罰として、辞めろと言われるかもしれない。
――それでも。
私がここで嘘をつけば、慎也さんが一方的に片想いをしているだけの扱いとなって――お見合い結婚をさせられてしまうのなら。
見知らぬ誰かに、奪われるわけには行かなかった。
「慎也さんのことを、お慕いしています」
「どんな所が好き?」
「無言で、日本酒を飲む横顔……」
「ははっ。あはは! 勤務態度じゃないんだ? こりゃ、一本取られたなぁ!」
「父さん」
頬を赤く染めながら思い切って正直に答えれば、オーナーから大笑いされてしまった。
これには慎也さんも黙っていられなかったようで、仕事モードからプライベートモードに切り替えて非難するように名前を呼んでいる。