ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
あんなに堀が深くて色気があり、大人の男性としての魅力がたくさん詰まった男性を今まで誰もイケメンと称していなかったなんて、信じられないのだけれど……。
私はマスターの口からどんな言葉が返って来るのかと、内心ワクワクしながら心待ちにしていれば――その時はすぐにやって来る。
「そうですね。それは、ご本人に聞くのがよろしいかと思います」
マスターは優しく微笑むと、男性客を手招きした。
難しい顔をしていた彼は首を横に振ったけれど。
日本酒の瓶を私の隣へ用意されたら、断りきれなかったようだ。
彼はどっしりとした重苦しい足取りで真逆の席から私の隣の席までジャケットの裾を翻しながら、ゆっくりと歩いてやってきた。
その姿がアルコールの熱に全身をやられた私には、姫の元へと駆けつけて来る王子様のように見えて仕方ない。
「夢みたい……」
「何がだ」
恍惚とした表情を浮かべてぽつりと呟けば、男性客の低い声が返って来た。
――初めて耳にする片思いの相手の声は、見た目通りに渋くて重厚で。
ドキドキと心臓が高鳴るのを止められなかった。
私、今。すごく顔が赤いわ……。
鼓動を鎮めるために、どうすればいいのかすらもわからなくて。
熱に浮かされ物欲しそうな瞳で、彼をじっと見つめることしか出来ないのがもどかしい。
私はマスターの口からどんな言葉が返って来るのかと、内心ワクワクしながら心待ちにしていれば――その時はすぐにやって来る。
「そうですね。それは、ご本人に聞くのがよろしいかと思います」
マスターは優しく微笑むと、男性客を手招きした。
難しい顔をしていた彼は首を横に振ったけれど。
日本酒の瓶を私の隣へ用意されたら、断りきれなかったようだ。
彼はどっしりとした重苦しい足取りで真逆の席から私の隣の席までジャケットの裾を翻しながら、ゆっくりと歩いてやってきた。
その姿がアルコールの熱に全身をやられた私には、姫の元へと駆けつけて来る王子様のように見えて仕方ない。
「夢みたい……」
「何がだ」
恍惚とした表情を浮かべてぽつりと呟けば、男性客の低い声が返って来た。
――初めて耳にする片思いの相手の声は、見た目通りに渋くて重厚で。
ドキドキと心臓が高鳴るのを止められなかった。
私、今。すごく顔が赤いわ……。
鼓動を鎮めるために、どうすればいいのかすらもわからなくて。
熱に浮かされ物欲しそうな瞳で、彼をじっと見つめることしか出来ないのがもどかしい。