ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
13・幼馴染への結婚報告は修羅場の予感
「まずは三人で、話をさせてほしいの」
「駄目だ」

 慎也さんは相原兄妹と私だけで話し合うのは危険だと譲らなかった。
 秋菜と一対一なら目を瞑るが、渉も一緒だと何かあった際に止められないと頑なに拒まれてしまう。

 それでも私は、ここで引き下がるわけには行かなかった。
 幼馴染にはちゃんと私の口から、説明したいと思ったから――。

「お願い。慎也さん……」
「どれほど懇願されても。それだけは……」
「危ないと思ったら、話の途中でも割って入って構わない。それならいいでしょ?」

 自分の身に危険が及ばぬように、立ち回って見せる。
 そう覚悟を決めて提案すれば、最終的に彼が折れた。

「彼らが君を傷つけるようなことになれば、女性相手でも容赦はしない」
「秋菜は私を、傷つけないわ……!」
「どうだか。兄の影に隠れているが、妹も相当歪んだ執着心を抱いているようだからな……」

 そんなこと、ないわよね?

 だって秋菜は心優しくて。
 小動物のような女の子ですもの。
 獰猛な牙を隠した獣なんかじゃないはずだと、自分に言い聞かせながら。

 慎也さんを私の部屋へ残し、一人で相原兄妹の暮らす隣の部屋へと向かった。
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