ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
14・これからも、今まで通り
――それから、二日後。
朝っぱらから緊急ミーティングを行うと称し全従業員を多目的ホールに集めた総支配人は、中央に私の腰に手を回して抱き寄せると、呆然とした従業員達へ見せびらかすように、右手の薬指を見えるように掲げてからある宣言をした。
「私事で恐縮だが、香帆と籍を入れた」
そこからはもう、お祭り騒ぎ。
女性従業員達が驚きで目を見開いたかと思えば、腰を抜かしてその場に崩れ落ちる。
「内宮さんって、相原くんと付き合ってるんじゃないの……?」
「そうだったら、良かったんだけどなー」
「相原さん。どう言うこと?」
「知らない! わたしは、認めてないから……!」
同僚達は何事かと相原兄妹へ事情を聞こうとするけれど……。
渉は肩を竦め、秋菜は頬を剥れさせて他人のふりをした。
「総支配人……っ!」
ホテル・アリアドネの従業員達が阿鼻叫喚に包まれる中、彼だけがいつも通りの涼しい顔で私を抱き寄せている。
この状況で長々と密着していたら、収集がつかなくなる。
そう危惧して異を唱えれば、耳元で低い声が囁かれた。
「いつものように、名前で呼んでくれ」
「でも……っ」
「俺は君の夫なのだと、知らしめなければ……」
「し、慎也さん!」
彼は見せびらかした右手の指先を手に取ると、口元へ持っていって口づけた。
その王子様みたいな仕草を見た女性従業員は、さらにヒートアップ。
私は顔を真っ赤にしながら慌て――このお祭り騒ぎは、チェックインが始まる時間まで続いた。
朝っぱらから緊急ミーティングを行うと称し全従業員を多目的ホールに集めた総支配人は、中央に私の腰に手を回して抱き寄せると、呆然とした従業員達へ見せびらかすように、右手の薬指を見えるように掲げてからある宣言をした。
「私事で恐縮だが、香帆と籍を入れた」
そこからはもう、お祭り騒ぎ。
女性従業員達が驚きで目を見開いたかと思えば、腰を抜かしてその場に崩れ落ちる。
「内宮さんって、相原くんと付き合ってるんじゃないの……?」
「そうだったら、良かったんだけどなー」
「相原さん。どう言うこと?」
「知らない! わたしは、認めてないから……!」
同僚達は何事かと相原兄妹へ事情を聞こうとするけれど……。
渉は肩を竦め、秋菜は頬を剥れさせて他人のふりをした。
「総支配人……っ!」
ホテル・アリアドネの従業員達が阿鼻叫喚に包まれる中、彼だけがいつも通りの涼しい顔で私を抱き寄せている。
この状況で長々と密着していたら、収集がつかなくなる。
そう危惧して異を唱えれば、耳元で低い声が囁かれた。
「いつものように、名前で呼んでくれ」
「でも……っ」
「俺は君の夫なのだと、知らしめなければ……」
「し、慎也さん!」
彼は見せびらかした右手の指先を手に取ると、口元へ持っていって口づけた。
その王子様みたいな仕草を見た女性従業員は、さらにヒートアップ。
私は顔を真っ赤にしながら慌て――このお祭り騒ぎは、チェックインが始まる時間まで続いた。