ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
3・2日目
「げ……っ」

 渉からの着信やメッセージで履歴が埋まり、通知がパンクしていた。
 いちいち確認するのすら面倒で、まずは妹の秋菜へ無事だと伝える。

『香帆。大丈夫? 何かあったんじゃないかって、渉がすごく心配してるよ。大至急、連絡ください』
『ごめん。外で飲んでたら、帰れなくなっちゃった。出社済みだから、心配不要』

 私が送信したメッセージには、すぐ既読のマークがついた。
 出社の準備をしながら、連絡を待ち続けていたのかもしれない。

『渉はもうすぐ、そっちに着くって。無事だってこと、自分の口でちゃんと伝えてね』

 根掘り葉掘り聞かれるのが嫌だから、真っ先に秋菜へ連絡しているのに……。

 この場から逃げたい気持ちでいっぱいになったけれど。

 渉だって、私と同じフロント係として勤務しているのだ。
 どうやっても、顔を合わせるのは避けられない。

 こうなったら、ギリギリまでロッカールームに籠城するしかないわね……。

 私はここが女子更衣室であることを利用して、着替えたあとも椅子に座ったままスマートフォンを見つめながら暇を潰した。

 このままずっと、渉が昨夜連絡してきた内容を無視するわけにもいかない。
 暇つぶしにもちょうどいいだろうと、念の為受診した内容に目を通し始めたのだけれど……。
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