ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
『どこにいるんだよ。これ見たら、連絡して』

 時間が経過するにつれ、送信されたメッセージに泣きが入っていくことに気づく。

『心配すぎて、胸が張り裂けそう』

 私が渉の立場なら、ここまで相手を思いやれるものかしら?

 いくら幼馴染だったとしても……。

 彼の性格を考えれば、どこかで遊び呆けているんでしょうと結論づけて、こんなに大騒ぎするようなことはない気がする。

 たった半日無連絡で自宅へ戻らず、スマホを確認しなかっただけなのに……。

 どうして渉はこんなにも、私を心配しているのだろう。

 それがよく、わからなくて。
 私はじっとスマートフォンの画面をじっと難しい顔で見つめ続けていた。

「内宮さん?」

 子どもじゃないんだから。
 ここまで心配する必要はないでしょうに……。

 理解に苦しんだ私がじっと椅子に座って悩んでいれば、ロッカールームの扉から見覚えのある同僚女性が入室してきた。
 頭を下げて挨拶をすれば、彼女は廊下を指差して告げる。

「相原くんが、外で待っていますよ」
「はい」

 ――簡単な話が、着替えの邪魔だから籠城していないでさっさと外へ出ろと言うことだ。
 無視して居座ってもよかったけれど……。
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