ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
話を広げると、面倒なことになる。
そんな予感がした私は、見ないふりをしてフロントへ向けて歩き出す。
「これから総支配人が出向してくるってのに……。こんな気持ちのままいつも通りの勤務なんか、無理なんだけど」
「総支配人?」
先程までの話は、いったん保留になったはずでしょう?
まだ続けるつもりなの?
そう考えながら眉を顰めた私の背中を当然のように追い駆けて隣に並び立った幼馴染から、意外な言葉が紡がれた。
彼はそんな話を、どこで耳にしたのだろう?
総支配人が来るなんて話を聞いたことがなかった私は、思わず驚きで目を見開いてしまった。
「やっぱり知らなかったのか。昨日、お偉いさん達の緊急会議が行われて、そこで決まったんだってさ」
「なんでそんなことを知っているのよ」
「オレは顔が広いからさ? いろんな情報源があるわけ」
「そう……」
はっきりどこどこの誰々と言わないあたり、後ろ暗いことがあるんでしょうね。
私だって渉以外の男性とやることやってるわけだし、幼馴染だからと遠慮しなくたっていいのに。
好きにすればいいのよ。
花に群がる蜂のように。
明るく元気な彼を求めて女性達が言い寄る姿を、何度も隣でじっと見て来たのだから……。
今さら、嫉妬なんかしないわ。
むしろ、さっさと身を固めてほしいとさえ思っているくらいだ。
そんな予感がした私は、見ないふりをしてフロントへ向けて歩き出す。
「これから総支配人が出向してくるってのに……。こんな気持ちのままいつも通りの勤務なんか、無理なんだけど」
「総支配人?」
先程までの話は、いったん保留になったはずでしょう?
まだ続けるつもりなの?
そう考えながら眉を顰めた私の背中を当然のように追い駆けて隣に並び立った幼馴染から、意外な言葉が紡がれた。
彼はそんな話を、どこで耳にしたのだろう?
総支配人が来るなんて話を聞いたことがなかった私は、思わず驚きで目を見開いてしまった。
「やっぱり知らなかったのか。昨日、お偉いさん達の緊急会議が行われて、そこで決まったんだってさ」
「なんでそんなことを知っているのよ」
「オレは顔が広いからさ? いろんな情報源があるわけ」
「そう……」
はっきりどこどこの誰々と言わないあたり、後ろ暗いことがあるんでしょうね。
私だって渉以外の男性とやることやってるわけだし、幼馴染だからと遠慮しなくたっていいのに。
好きにすればいいのよ。
花に群がる蜂のように。
明るく元気な彼を求めて女性達が言い寄る姿を、何度も隣でじっと見て来たのだから……。
今さら、嫉妬なんかしないわ。
むしろ、さっさと身を固めてほしいとさえ思っているくらいだ。