ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
 心を通わせたわけでもないのに、所有印を刻み込むなんて……。

 さすがはイケメン御曹司。
 手馴れているわ……。

「君は、俺のものだ」

 その先に期待を込めて、熱っぽい視線で首元から唇を離した彼の姿を見上げれば。
 慎也さんは告白とも取れる傲慢な宣言をした。

「誰に文句を言われようとも、手放すつもりはない」

 これが片思いをしている相手でなければ。

 どれほど傲慢で自分勝手な男なのだろうかと、頬に平手打ちを一発食らわせていたかもしれないけれど……。

 相手は私の、愛する人だ。

 彼の独占欲が私だけに向けられてると知れば、喜びで全身が打ち震えるのは当然のこと。

 内心大喜びをしながらも、ぬか喜びではないことを確かめる為に思わず問いかけてしまった。

「それって、告白ですか……?」
「そう受け取ってもらっても、構わない」
「……社内恋愛は、禁止ですよね……?」
「ここは社内ではなく、社外だ。プライベートの恋愛まで、我が社は管理していない」
「……屁理屈」
「納得できる理由がなければ、君は俺を受け入れてはくれないだろう」

 彼の言い分は、間違いではないのだけれど……。

 今ここで、告白にしか思えない気持ちを受け入れ了承したら……。
 私達は隠れてコソコソと、交際することになってしまう。
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