ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
そんな幼馴染の姿を冷たい瞳で見下した総支配人は、言葉を紡ぐことなく無言で見つめ合う。
――なんだか、一触触発な雰囲気だわ……。
間を取り持つべきかと回らない頭で考えていれば、慎也さんが小馬鹿にしたような笑みを浮かべて渉へ言い放つ。
「配役に不満があるのなら、魔法使いでも構わない」
「却下!」
「俺と相原。どちらが彼女の王子であるかは、いずれはっきりさせよう」
「何言ってんすか! オレは今すぐだって――」
「君は長年、彼女を守って来た。しかしそれが、恋愛感情に繋がることはないと……身を持って体感してから、決着をつけるべきだ」
「そんなの――」
「俺の香帆に、想いが届かないならば、と――間違いを起こされては、敵わないからな」
私にはよくわからない話を渉としたあと妖艶に微笑んだ彼は、身体を離すと会釈をしてから足早にマンションをあとにした。
「あんにゃろ……! 絶対泣かす……!」
「ちょっと。渉! 声を抑えて! 慎也さんに……」
「……ちょっと待てよ」
――慎也さんと、別れの挨拶をする暇すらない。
もっと一緒にいたかったのに……。
名残惜しい気持ちでいっぱいになりながら去り行く総支配人の後ろ姿を眺めていれば、渉の視線がこちらへ向いた。
――なんだか、一触触発な雰囲気だわ……。
間を取り持つべきかと回らない頭で考えていれば、慎也さんが小馬鹿にしたような笑みを浮かべて渉へ言い放つ。
「配役に不満があるのなら、魔法使いでも構わない」
「却下!」
「俺と相原。どちらが彼女の王子であるかは、いずれはっきりさせよう」
「何言ってんすか! オレは今すぐだって――」
「君は長年、彼女を守って来た。しかしそれが、恋愛感情に繋がることはないと……身を持って体感してから、決着をつけるべきだ」
「そんなの――」
「俺の香帆に、想いが届かないならば、と――間違いを起こされては、敵わないからな」
私にはよくわからない話を渉としたあと妖艶に微笑んだ彼は、身体を離すと会釈をしてから足早にマンションをあとにした。
「あんにゃろ……! 絶対泣かす……!」
「ちょっと。渉! 声を抑えて! 慎也さんに……」
「……ちょっと待てよ」
――慎也さんと、別れの挨拶をする暇すらない。
もっと一緒にいたかったのに……。
名残惜しい気持ちでいっぱいになりながら去り行く総支配人の後ろ姿を眺めていれば、渉の視線がこちらへ向いた。