10年後も、君がいた軌跡は僕が憶えているから。
翌日には、美紀と瑠衣菜で大型商業施設に行った。
ゲームセンターに行ったり、プリクラを撮った。
「か、可愛い〜!!!!!」
美紀が瑠衣菜とわたしの可愛さにうっとりしていた。
「確かに、可愛いね!唯菜〜。その美貌をわたしにくれ〜!!!」
瑠衣菜までそんな事を言い出して「だめ〜」って言うとこやつ〜と頬をぷにぷにされた。
「本当に、唯菜は可愛いよ…」
何かを悲しむような顔つきに2人はなった。
多分、わたしの病気が治らないことを指しているのだろう。
「そんな顔しないで!ほら!ご飯食べに行こう!」
わたしが明るい声を出すと、美紀と瑠衣菜は頷き早速お店へ向かった。
そこは、今SNSで話題のお店だった。
ちなみに、おすすめのメニューを頼むとオムライスが出てきた。ふわトロで、ケチャップもちゃんとトマトの味がする。
そして、なんと驚くところはまだ早かった。
デザートが鳥の形を形どって盛り付けられたアイスクリームでそれはそれは美味だった。
しかも、値段は学生の懐にはありがたいリーズナブルだった。
「おいっしいっ〜!!」
美紀は、痩せているけれど食が太い。それは、瑠衣菜も同じ。
わたしは、比較的食べる方だけど2人はもっと凄い。
大食いファイターになっても良いんじゃないかと思うほど。
この前、美紀はわんこそばを食べに行ったらしい。完食した数なんと、120杯!
この話を聞いたときは、瑠衣菜と2人でびっくり仰天した。
「あの、すいません。バニラアイスと、抹茶アイスをください」
美紀が店員さんを呼ぶと本日3個目のアイスを注文した。
店員さんも、手元にあるアイスのお皿をみて驚いた顔をしつつもかしこまりましたと言って厨房に向かった。


しばらくすると、美紀が頼んだアイスがやってきた。
美紀は、初めて食べましたと言わばかりにすぐ平らげた。
「美紀…。お腹、壊さないでよね」
少し、呆れた様子で言うとはーい!と元気よく返事をしている様子をわたしは微笑みながら見つめていた。


結局、美紀はお腹を壊した。
瑠衣菜は、呆れ返ってため息を付いた。
「全く…」
その言葉が、お母さんの言葉のようでお母さんかよとわたしが突っ込むと確かに!と笑い出した。
また、守りたい日常が出来た。
わたしが、この世界からいなくなっても一枚の絵のように残ってほしい思い出。
美紀と瑠衣菜がいつまでもいつまでもずっと、笑い続けられますように。
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