10年後も、君がいた軌跡は僕が憶えているから。
「るいなぁ。ごめんって…。謝るから許して〜」
さっきから縋る声を発しているのは、美紀。
アイスの食べ過ぎで美紀はお腹を壊し、瑠衣菜は怒りが爆発した。
こうして、謝っても瑠衣菜は聞く耳を持たない。
そんな光景をわたしは、写真に収めると瑠衣菜と美紀が言った。
「「恥ずかしいっ!」」
そう、ハモった。
それが功を奏したのか、2人は仲直りとごめんなさいをしあった。
「ふっ、ハハハっ!」
突然、笑いが込み上げてきた。突然のわたしの笑い声に2人は、きょとんとした顔をして笑い出した。
「あー、面白い」
笑いで涙が、出てきそれを指で拭った。
「そうだ!唯菜、美紀、写真撮らない?」
瑠衣菜の案にわたしたちはすぐのった。
美紀のスマホ、瑠衣菜のスマホ、わたしのスマホと合計3枚撮った写真。
わたしがいたという事実が少しずつ、残っていく。
もう、ほとんど心残りはなくなってきた。
お手洗いに立ち、靴下を個室で脱ぐと膝の上、つまり太腿にまで透明化が進んでいた。
やっぱり、触ったら冷たい。
血が通っていない、みたい。でも、血は通っていると担当医の先生が言っていた。
ただ、暖かさを保つ機能が太腿よりも下に命令が下されないから冷たいらしい。
何だか、小難しいなとその時思った。
それから、色々と透季病について専門書を買った。
最近、患者数が増えているようで色々な世界各国の有名機関が研究しているとのこと。
でも、未だに特効薬が開発されないらしい。
それくらい、複雑で難易度の難しい病気らしい。
国の指定難病にも指定されるほどだから根治は難しいのだろう。
ああ、何でだろう…。
なぜ、この病気ができてしまったのだろうか…?
いくら考えても、科学的根拠が発見されていないから平凡な頭のわたしは分からない。
お父さんが製薬会社の社員らしいけど、聞くところによるとあんまり成果は見られないみたい。
わたしが聞くと、恥ずかしいからお母さんに頼んで聞いてもらっている。
お母さんも聞くのは、恥ずかしいらしいけれど唯菜の頼みなら、と言うことで聞いてもらっている。
ありがたいなぁ。
靴下を履き、外に出ると瑠衣菜たちは本屋に居た。
わたしも、本が好きで特に大好物な恋愛小説コーナーに行くと驚くべき名前があった。
『櫻井唯香』
忘れもしない。
唯香。わたしの、妹だ。
驚いた。唯香が小説を書く趣味があったなんて、知らなかった。
タイトルは、「余命1年の私。」
唯香らしい、題名だった。
少し、本を手に取り見させてもらった。
内容は、唯香とわたしが患っている透季病をテーマにしたお話だった。
思わず、息が止まりそうになり呆然としていた。
パラパラ見させてもらうと、最後の文章に手が止まった。
「これは、わたしが患った病気をテーマにしています。
何度も、何度も救ってくれた家族に感謝申し上げます。」
そう、書いてあった。
ブワッと涙が溢れてきた。
営業の妨害にならないように、静かにわたしは泣いた。
近くにいたのか、瑠衣菜が驚いた顔をして駆け寄ってきた。
唯香の名前を見ると、言葉を失ったように驚いた顔をした。
そして、何も言わずわたしの傍に居続けてくれた。
泣き止むと、瑠衣菜が声をかけてきてくれた。
「大丈夫?」と。
「大丈夫」
口では、そう返したけれどまだ涙が溢れ出てきそうだった。
瑠衣菜のスマホから美紀にわたしの事を連絡したらしく、ソフトクリーム屋の前で待っているそう。
その場所に出向くと、美紀はいた。
わたしたちの姿を確認すると、太陽みたいな、光り輝く笑顔を向けた。
「唯菜?ソフトクリーム食べる…?」
「うん、食べる…」
ソフトクリームは、食べたかった。
だから、残り少ない命でも味わいたいものは味わいたい。
そう思った。
ソフトクリームは、美味しかった。
夏が近いから、一段と美味しく感じられた。
そんな、幸せの1日だった。
さっきから縋る声を発しているのは、美紀。
アイスの食べ過ぎで美紀はお腹を壊し、瑠衣菜は怒りが爆発した。
こうして、謝っても瑠衣菜は聞く耳を持たない。
そんな光景をわたしは、写真に収めると瑠衣菜と美紀が言った。
「「恥ずかしいっ!」」
そう、ハモった。
それが功を奏したのか、2人は仲直りとごめんなさいをしあった。
「ふっ、ハハハっ!」
突然、笑いが込み上げてきた。突然のわたしの笑い声に2人は、きょとんとした顔をして笑い出した。
「あー、面白い」
笑いで涙が、出てきそれを指で拭った。
「そうだ!唯菜、美紀、写真撮らない?」
瑠衣菜の案にわたしたちはすぐのった。
美紀のスマホ、瑠衣菜のスマホ、わたしのスマホと合計3枚撮った写真。
わたしがいたという事実が少しずつ、残っていく。
もう、ほとんど心残りはなくなってきた。
お手洗いに立ち、靴下を個室で脱ぐと膝の上、つまり太腿にまで透明化が進んでいた。
やっぱり、触ったら冷たい。
血が通っていない、みたい。でも、血は通っていると担当医の先生が言っていた。
ただ、暖かさを保つ機能が太腿よりも下に命令が下されないから冷たいらしい。
何だか、小難しいなとその時思った。
それから、色々と透季病について専門書を買った。
最近、患者数が増えているようで色々な世界各国の有名機関が研究しているとのこと。
でも、未だに特効薬が開発されないらしい。
それくらい、複雑で難易度の難しい病気らしい。
国の指定難病にも指定されるほどだから根治は難しいのだろう。
ああ、何でだろう…。
なぜ、この病気ができてしまったのだろうか…?
いくら考えても、科学的根拠が発見されていないから平凡な頭のわたしは分からない。
お父さんが製薬会社の社員らしいけど、聞くところによるとあんまり成果は見られないみたい。
わたしが聞くと、恥ずかしいからお母さんに頼んで聞いてもらっている。
お母さんも聞くのは、恥ずかしいらしいけれど唯菜の頼みなら、と言うことで聞いてもらっている。
ありがたいなぁ。
靴下を履き、外に出ると瑠衣菜たちは本屋に居た。
わたしも、本が好きで特に大好物な恋愛小説コーナーに行くと驚くべき名前があった。
『櫻井唯香』
忘れもしない。
唯香。わたしの、妹だ。
驚いた。唯香が小説を書く趣味があったなんて、知らなかった。
タイトルは、「余命1年の私。」
唯香らしい、題名だった。
少し、本を手に取り見させてもらった。
内容は、唯香とわたしが患っている透季病をテーマにしたお話だった。
思わず、息が止まりそうになり呆然としていた。
パラパラ見させてもらうと、最後の文章に手が止まった。
「これは、わたしが患った病気をテーマにしています。
何度も、何度も救ってくれた家族に感謝申し上げます。」
そう、書いてあった。
ブワッと涙が溢れてきた。
営業の妨害にならないように、静かにわたしは泣いた。
近くにいたのか、瑠衣菜が驚いた顔をして駆け寄ってきた。
唯香の名前を見ると、言葉を失ったように驚いた顔をした。
そして、何も言わずわたしの傍に居続けてくれた。
泣き止むと、瑠衣菜が声をかけてきてくれた。
「大丈夫?」と。
「大丈夫」
口では、そう返したけれどまだ涙が溢れ出てきそうだった。
瑠衣菜のスマホから美紀にわたしの事を連絡したらしく、ソフトクリーム屋の前で待っているそう。
その場所に出向くと、美紀はいた。
わたしたちの姿を確認すると、太陽みたいな、光り輝く笑顔を向けた。
「唯菜?ソフトクリーム食べる…?」
「うん、食べる…」
ソフトクリームは、食べたかった。
だから、残り少ない命でも味わいたいものは味わいたい。
そう思った。
ソフトクリームは、美味しかった。
夏が近いから、一段と美味しく感じられた。
そんな、幸せの1日だった。