10年後も、君がいた軌跡は僕が憶えているから。
雅人Side
意味がわからない。
唯菜の病院のお見舞いから帰る途中、ずっと考えていた。
『嫌いだから、もう病院に来ないで』
何で、だよっ!?
一度もそんな事言ったことなかったじゃないか。
それに、唯菜の目に涙が浮かんでいたあれは見間違いではなかったのだろうかー。
俺は、ショックで中々外に出ることができなくなった。
食事もまともに取れない。
その日々が、一ヶ月続いた。
夏の日の昼下がり。
真奈が両親を連れてアメリカから帰ってきた。
げっそりやつれて、目の下に隈もあるであろうという俺の顔を見て3人は悲鳴をあげた。
真奈が、気を利かせて中庭に俺を連れて行った。
「唯菜ちゃんのことでしょ?」
ズバリと核心をついてきた。
「何で…、唯菜のこと…」
「唯菜ちゃんの…、妹の唯香があたしの友達だったから…」
そう言えば、妹がいると言っていた。
「で、どうしたの?」
「嫌いって、言われた…」
「えっ…」
明らかに、真奈は驚いていた。そして、納得言ったような声を出した。
「私は、人に死に目を合わせたくないならその人を嫌いっていう。たとえ、その相手がどんなに好きでも」
そう言い残し、真奈は去っていた。
死に目に、合わせなくない?
ふと、唯菜のお母さんの言葉が蘇った。
「唯菜は、病気なの…」
病気。
唯菜に聞くと、こう言った。
治らない、って。
もしかして、そうなのか…?
余命が決まっていたのか…?
どうして、俺に言ってくれなかったんだ…?
度重なる疑問が頭の中を駆け巡ったが、次の瞬間には家を飛び出し唯菜が入院する病院へと足を向けた。
唯菜の病室に向かった。
扉に手をかけると、そこに唯菜はいなかった。
しかし、居るのはただ1人。
何度か顔を合わせた唯菜のお母さんだった。
目をパチクリ、パチクリさせて。
「雅人、くん…。大丈夫…?」
俺の顔が酷かったのかひどく心配された。
「大丈夫、です…。唯菜は…?」
「唯菜は…」
そう言うと、付いて来てと言われ付いて行った先は唯菜の家だった。
玄関に入り、通された部屋に唯菜はいた。
いや、唯菜はいない。
唯菜の遺影だけがそこにはあった。
「唯菜は、言ってなかったのね…。自分が夏に死ぬこと」
夏に、死ぬ…?
どういう、こと…?
「どういうことですか…?」
「唯菜はね、」
そこから、お母さんが話してくれた。
1年前の夏、透季病という体が透明になって心臓に害を及ぼした後は全身が冷たくなって呼吸もできなくなってしまう病気にかかったそうだ。
それで、段々と病魔が彼女を襲ったそう。
倒れた日も病魔のせいだったらしい。
元から身体が丈夫でなかった唯菜は、進行も早かったそうだ。
そして、余命宣告を受けた。
今年の夏に、死ぬと。
悲しみに暮れる中、同じ病気を患ったゆいかちゃんがなくなったそうだ。
みんなの前では、明るく振る舞っていた唯菜。
でも、俺にだけ見せてくれた唯菜の涙。
思い出すだけで胸が押しつぶされそうだった。
「雅人くん。これ、唯菜が遺したものなの」
そう言って差し出されたのは、一つのパソコン。
「あげるわ」
とても高価なものなはずなのに、唯菜のお母さんはくれた。
お辞儀をして、俺は唯菜と行った海に足を運んだ。
唯菜の病院のお見舞いから帰る途中、ずっと考えていた。
『嫌いだから、もう病院に来ないで』
何で、だよっ!?
一度もそんな事言ったことなかったじゃないか。
それに、唯菜の目に涙が浮かんでいたあれは見間違いではなかったのだろうかー。
俺は、ショックで中々外に出ることができなくなった。
食事もまともに取れない。
その日々が、一ヶ月続いた。
夏の日の昼下がり。
真奈が両親を連れてアメリカから帰ってきた。
げっそりやつれて、目の下に隈もあるであろうという俺の顔を見て3人は悲鳴をあげた。
真奈が、気を利かせて中庭に俺を連れて行った。
「唯菜ちゃんのことでしょ?」
ズバリと核心をついてきた。
「何で…、唯菜のこと…」
「唯菜ちゃんの…、妹の唯香があたしの友達だったから…」
そう言えば、妹がいると言っていた。
「で、どうしたの?」
「嫌いって、言われた…」
「えっ…」
明らかに、真奈は驚いていた。そして、納得言ったような声を出した。
「私は、人に死に目を合わせたくないならその人を嫌いっていう。たとえ、その相手がどんなに好きでも」
そう言い残し、真奈は去っていた。
死に目に、合わせなくない?
ふと、唯菜のお母さんの言葉が蘇った。
「唯菜は、病気なの…」
病気。
唯菜に聞くと、こう言った。
治らない、って。
もしかして、そうなのか…?
余命が決まっていたのか…?
どうして、俺に言ってくれなかったんだ…?
度重なる疑問が頭の中を駆け巡ったが、次の瞬間には家を飛び出し唯菜が入院する病院へと足を向けた。
唯菜の病室に向かった。
扉に手をかけると、そこに唯菜はいなかった。
しかし、居るのはただ1人。
何度か顔を合わせた唯菜のお母さんだった。
目をパチクリ、パチクリさせて。
「雅人、くん…。大丈夫…?」
俺の顔が酷かったのかひどく心配された。
「大丈夫、です…。唯菜は…?」
「唯菜は…」
そう言うと、付いて来てと言われ付いて行った先は唯菜の家だった。
玄関に入り、通された部屋に唯菜はいた。
いや、唯菜はいない。
唯菜の遺影だけがそこにはあった。
「唯菜は、言ってなかったのね…。自分が夏に死ぬこと」
夏に、死ぬ…?
どういう、こと…?
「どういうことですか…?」
「唯菜はね、」
そこから、お母さんが話してくれた。
1年前の夏、透季病という体が透明になって心臓に害を及ぼした後は全身が冷たくなって呼吸もできなくなってしまう病気にかかったそうだ。
それで、段々と病魔が彼女を襲ったそう。
倒れた日も病魔のせいだったらしい。
元から身体が丈夫でなかった唯菜は、進行も早かったそうだ。
そして、余命宣告を受けた。
今年の夏に、死ぬと。
悲しみに暮れる中、同じ病気を患ったゆいかちゃんがなくなったそうだ。
みんなの前では、明るく振る舞っていた唯菜。
でも、俺にだけ見せてくれた唯菜の涙。
思い出すだけで胸が押しつぶされそうだった。
「雅人くん。これ、唯菜が遺したものなの」
そう言って差し出されたのは、一つのパソコン。
「あげるわ」
とても高価なものなはずなのに、唯菜のお母さんはくれた。
お辞儀をして、俺は唯菜と行った海に足を運んだ。