いっくんのお気に入り♡
いっくんとせいちゃん
入社2年目に入った、4月。
「――――門川、お疲れ〜」
同僚の下園が声をかけてくる。
「お疲れ!」
帰る準備をしながら、微笑んだ。
「今から同期だけで飲みに行こうって話になってさ。
門川も行かない?」
「行かない!」
満面の笑みで断る、壱茶。
「爽やかだなぁ…(笑)
惚れるわ〜」
「フフ…ありがと!
じゃあね!お疲れ!」
「あぁ!お疲れ〜!!
………………
……って!おい!飲み会!!」
いつもこんな感じでかわされる、下園。
「下園。
“また”断られたの?(笑)」
「うん。
“また”断られた…(笑)」
「いい加減、諦めたら?」
「だって門川が来たら、女性達も来てくれるだろ?」
「そうだけどよ。
でも、愛妻家の門川だぞ?
よっぽどがないと来ないと思うぞ?」
「それは、わかってるけどよ…」
「でもきっと、美人なんだろうなぁー」
「ん?」
「門川の嫁さん!
だって結婚式、家族と友人だけしか呼んでなかっただろ?
見てみたかったなぁ〜」
「だな!」
そして――――その頃の壱茶。
会社を出て、スマホを操作していた。
愛する妻・聖愛に電話をかけるためだ。
『はい、もしもし?』
「せいちゃん?
今から帰るね!」
壱茶は、聖愛のことを“せいちゃん”と呼んでいる。
『わかった!』
通話を切って、駅に向かう。
ちょうど電車が来て、乗り込んだ。
乗客が多くて、少し押されながらなんとか乗り込む。
周りの乗客達の視線が、こちらに向いている。
「あ、いた!あの人だ!」
「ヤバい。ほんとカッコいい…//////」
でも、気にしないようにする。
(こんなに満員なのに、いつもよく僕のことを見つけるよな…(笑))
壱茶はつり革を持ち、天井に吊り下がっている広告を見つめていた。
“GWは、何処行く?”と書かれた、広告。
(GWか…
何処か連れてってあげたいな!
結婚して、初めてのGWだし…
でも、家でまったりもいいな!
せいちゃんを独り占め出来るし!)
そんなことを考えていると、最寄り駅に着いた。
駅を出ると……
「あ…雨…」
雨が降っていた。
結構降っていて、壱茶と同じように空を見上げている人が多い。
(しかたない…
多少濡れても、走って帰るか!
明日休みだし、すぐシャワー浴びれば―――――)
「いっくん…」
駅にいる人達のざわざわに混じった、極々小さな呼び声。
普通なら、聞き逃すに決まっている声。
しかし壱茶には、はっきり聞こえた。
振り返ると、愛しい聖愛が傘を持って立っていた。
「せいちゃん!!」
「雨、降ってたから、迎えに来たよ…!」
そう言って、微笑んだ。
「――――門川、お疲れ〜」
同僚の下園が声をかけてくる。
「お疲れ!」
帰る準備をしながら、微笑んだ。
「今から同期だけで飲みに行こうって話になってさ。
門川も行かない?」
「行かない!」
満面の笑みで断る、壱茶。
「爽やかだなぁ…(笑)
惚れるわ〜」
「フフ…ありがと!
じゃあね!お疲れ!」
「あぁ!お疲れ〜!!
………………
……って!おい!飲み会!!」
いつもこんな感じでかわされる、下園。
「下園。
“また”断られたの?(笑)」
「うん。
“また”断られた…(笑)」
「いい加減、諦めたら?」
「だって門川が来たら、女性達も来てくれるだろ?」
「そうだけどよ。
でも、愛妻家の門川だぞ?
よっぽどがないと来ないと思うぞ?」
「それは、わかってるけどよ…」
「でもきっと、美人なんだろうなぁー」
「ん?」
「門川の嫁さん!
だって結婚式、家族と友人だけしか呼んでなかっただろ?
見てみたかったなぁ〜」
「だな!」
そして――――その頃の壱茶。
会社を出て、スマホを操作していた。
愛する妻・聖愛に電話をかけるためだ。
『はい、もしもし?』
「せいちゃん?
今から帰るね!」
壱茶は、聖愛のことを“せいちゃん”と呼んでいる。
『わかった!』
通話を切って、駅に向かう。
ちょうど電車が来て、乗り込んだ。
乗客が多くて、少し押されながらなんとか乗り込む。
周りの乗客達の視線が、こちらに向いている。
「あ、いた!あの人だ!」
「ヤバい。ほんとカッコいい…//////」
でも、気にしないようにする。
(こんなに満員なのに、いつもよく僕のことを見つけるよな…(笑))
壱茶はつり革を持ち、天井に吊り下がっている広告を見つめていた。
“GWは、何処行く?”と書かれた、広告。
(GWか…
何処か連れてってあげたいな!
結婚して、初めてのGWだし…
でも、家でまったりもいいな!
せいちゃんを独り占め出来るし!)
そんなことを考えていると、最寄り駅に着いた。
駅を出ると……
「あ…雨…」
雨が降っていた。
結構降っていて、壱茶と同じように空を見上げている人が多い。
(しかたない…
多少濡れても、走って帰るか!
明日休みだし、すぐシャワー浴びれば―――――)
「いっくん…」
駅にいる人達のざわざわに混じった、極々小さな呼び声。
普通なら、聞き逃すに決まっている声。
しかし壱茶には、はっきり聞こえた。
振り返ると、愛しい聖愛が傘を持って立っていた。
「せいちゃん!!」
「雨、降ってたから、迎えに来たよ…!」
そう言って、微笑んだ。
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