いっくんのお気に入り♡
「では!出来上がり次第ご連絡しますので、またこちらに―――――」

「あ!
郵送してもらえますか?」

「え?」

「僕達、忙しいので!
自宅に送ってください!」
微笑み言った壱茶。

担当の女性は、少し残念そうに「かしこまりました」と言った。


「――――取りに行った方が良かったんじゃないかな?」
結婚式場を出て、壱茶に言う聖愛。
なんだか、申し訳ない気持ちになったからだ。

「でも、送ってくれるみたいだし。
大丈夫だよ」

「う、うん」

「僕、苦手なんだ。
あのタイプの女性」

「あ…じゃあ…
あ!私が行ってくるよ!
いっくんが仕事中に!」

「それもダメ!」

「え?どうして?」

「アルバムと大きな額縁の写真もあるんだよ?
そんな重い物、持たせられない!」

「大丈夫だよ!
私、意外と力あるんだよ?」

「それでもダメだよ。
苦手って言ったよね?
そんな人に、一人で関わらせないよ」

「あ…」
(いっくん、私が苦手ってこと察してるんだ……)

いつも壱茶はそうだ。
聖愛のことを一番に考え、まるで自分のことのように考えてくれるのだ。

「ね?」

「うん、ありがとう!
ごめんね…」

「どうして謝るの?
僕が嫌だからだよ?」

こうやって自分のせいのように言って、決して聖愛を責めるようなことはしないのだ。


それから、青神のイベントに向かった。 

客が多く、整理券を渡された。
「こちらに書かれた時間内にお越しください!」

整理券には“14時〜14時半”と書かれていた。

「14時か…
ちょっとショッピングして、ランチしてからだね!」

「うん。
あ、じゃあ…買いたい物があるんだけど、本屋行っていいかな?」

「うん、もちろん!」
指を絡めて手を繋ぎ、ゆっくり歩き出した。

本屋に着き、雑誌コーナーへ。
「何が欲しいの?」

「ファッション雑誌を少々…」

「ファッション?」

「お、お洒落の勉強を…」

「お洒落?
せいちゃん、これ以上可愛くならなくていいよ。
僕、心臓もたなくなる…」

「え?」

「今も十分すぎるくらい、可愛いんだよ?」

「………」
(嬉しい…!
……………けど…調子に乗ってはだめ…
いっくんは、美的感覚がおかしいんだから…!)

聖愛は目の前で微笑む壱茶を見ながら、自分自身に言い聞かせていた。
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