いっくんのお気に入り♡
時間になり、青神のイベントに向かう。

青神の4人の紹介や、ライブの軌跡や、ライブ衣装や小道具などが、映像や展示品として細かく展示されていた。

「凄い…」
(レア物ばっかだ…!)

目を輝かせながら見る聖愛。
壱茶はなんか、面白くない。

有名人に嫉妬するなんて、バカげてる。

そんなことは頭ではわかっていても、心が追いつかない。

「わぁ…リョウだ…カッコいい…//////」

「………」

わかってるよ?
嫉妬なんて、バカげてるって…!!

「この笑顔綺麗…//////」

「………」

わかってる……

「あ、このライブ!
感動したんだよなぁ…/////」

 「………」

だから!わかってるよ!

「最後の投げキッス、ヤバかった……//////」

「…………
せいちゃん!!!」

嫉妬心を隠せない自分と、冷静に言い聞かせる自分が頭の中で葛藤していて、頭がパンクしそうになる。

思わず、声を荒らげた壱茶。

「―――――え…!?
いっ…く…ん?」

「早く行かないと、後に並んでいる人が詰まるよ?」

「あ、そうだよね…!
急がなきゃ!」

壱茶に少々強引に引っ張られるように、先に進んだ。

「あ、あの!
いっくん!」

「何?」

「あ、あの…手…痛い…」

「え……あ…!
ご、ごめんね!」

慌てて離した手。
聖愛の手は、ほんのり赤くなっていた。

「ううん、大丈夫だよ」

「ごめんね、ごめんね…!
本当にごめんね!」
手を擦りながら、謝罪を繰り返した。

「私こそ…」

「ん?痛い?」

「ごめんね」

「え?」

「つい、夢中になってた…
ごめんなさい…!」

「あ…ううん!
せいちゃんは、悪くないよ?
僕が、その…嫉妬しちゃって…」

「え…嫉妬?」

「うん…ごめんね。
でも、せいちゃんのこと大好きだから…!」

「………」

「………」

「いっくん」

「ん?」

「私がどうして、リョウが好きなんだと思う?」

「え?
笑顔、だよね?昨日言ってたでしょ?」

「うん。
その笑顔、いっくんと似てるからだよ……!」

「………え?」

「私ね。
青神のこと正直、興味なかったの。
アツコちゃんは昔からカイのファンだったから、ライブとかは一緒に行ってたんだけど…
いっくんに出逢ってからなの。リョウのこと気になりだしたの。
リョウを見てると、いっくんが私に笑ってくれてるみたいで…//////
だからね。
リョウが好きってゆうより…いっくんが好きだから、リョウ推しってゆうか…
だから何が言いたいかと言うと、私も推しは“いっくん”だよ//////」

見上げて微笑む聖愛に、壱茶は嬉しさが込み上がってきていた。
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