いっくんのお気に入り♡
いっくんと旅行
そして、GW。

朝、二人は荷物の準備をしていた。
今日の旅行は温泉と懐石料理を楽しむのが目的なので、ゆっくり出ようと言うことになったからだ。

「せいちゃーん!」

「はーい」

「荷物、一緒に入れない?」

「え?」

「どうせ、一緒なんだしさ!
僕のこの大きい鞄に入れて、できる限り少ない荷物にしよ?
せいちゃんは、いつものバッグだけ持てばいいよ?」

「え?でも…」

「あ、言っておくけど!
もし別々の鞄に着替えを入れても、僕がせいちゃんの鞄持つからね?」

「………」
そう言われてしまっては、これ以上何も言えない。
聖愛は頷き、壱茶の鞄に着替えなどを入れた。


「――――よし!せいちゃん、そろそろ出ようか?
今から出たら、ちょうどチェックインの時間くらいに着くんじゃないかな?」

「うん!」

「あれ?そのショルダーバッグ……」

「あ、うん!
この日のためにおもいきって買ったの!
ヒマパズのポイントを使ったら、だいぶ安く買えたから…!」

「そっか!
ずっと気になるって言ってたもんね!
でもポイント勿体ないよ?
僕が買ってあげるって言ったのに」

「ううん!
いっくんには、また服買ってもらったし…!」

「ほんと、欲がないね!(笑)」

「そうかな?」
(いっくんと結婚出来てる時点で、もう…強欲だと思うな…(笑))

そして自宅マンションを出る。
エントランスで、サクマが声をかけてくる。

「お出かけですか?
いってらっしゃい!」

「あ、はい…!
行ってきます!」
「行ってきます!」
やっぱり壱茶は“不快の笑顔”をしていた。


駅まで歩いて、電車で40分くらい揺られながら軽食をとり、旅館に向かった。

旅館に着くと、ロビー内はチェックインをする宿泊客で賑わっていた。

「もう少し時間ずらして、ゆっくり来ればよかったね…(笑)」
列に並び、人の多さに苦笑いをする壱茶。

「フフ…でも、こうゆうのも悪くないよ?」

「せいちゃんがいいなら、良いけど…(笑)」

10分くらい待って、順番が回ってくる。
「ご予約のお名前をお願いします!」

「門川です!」
“仕事用の”笑顔で答える、壱茶。

「門川様ですね!
――――――本日からご一泊ですね!」
「はい!」

「こちらにお名前、ご住所、お電話番号をお願いします!」
「はい!」

「あ、いっくん。私が書くよ!」
「ん、ありがとう!」

宿泊者カードに、名前などを書いていると……

「では、ご夕食のお時間を決めていただきたいのと、貸切風呂ですが――――――」

「…………え…!!?」


か、貸切風呂……!!!?
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