いっくんのお気に入り♡
「――――せいちゃん!早く!」

貸切風呂の脱衣所。
下着姿の聖愛と、裸に腰をタオルで巻いた壱茶がいる。

「早く、脱ぎな?」

「うん」

「一時間で、出なきゃいけないんだよ?」

「うん」

「ゆっくり入りたいでしょ?」

「うん」

「………」

「………」

はぁ…とため息をついた壱茶が、聖愛の下着に手をかけ脱がせた。

「はい、行こ?」
そして手を繋ぎ、中に入った。

身体を洗い、湯船に浸かる。

「んー、少し熱いけど…気持ちいいね!」

「うん…!」

「だいぶ、慣れた?」

「うん//////」

「じゃあ…さ…」

「ん?」

「もっと、こっち来て?」

「あ…うん/////」
壱茶の隣に近づく。 
手を繋いだ。

「フフ…!」

「なんか…」

「ん?」

「初めていっくんと、エッチした時のこと思いだした…(笑)」

「フフ…」

「こうやって手を握って、落ち着かせてくれた……!」

大学二年の時から交際していた、壱茶と聖愛。
初めて、壱茶のアパートに泊まりに行った日。

“そうゆう雰囲気”になり、求められた聖愛。

セックスに対して良い思い出がなく、不安で震える聖愛を、壱茶は少しずつ慣らすようにして優しく抱いたのだ。

「凄く、幸せだった……!」

「そう?(笑)
嬉しいな!」

そう言って、顔を近づける壱茶。
聖愛もゆっくり目を瞑り、二人の口唇が重なった。


それから部屋に戻り、風呂の続きのように口唇を重ね貪り合う。

壱茶の手が、帯にかかる。
スルスル…とほどかれ、浴衣がはだける。

「“聖愛”」

「……/////」

壱茶は抱き合っている時だけ、聖愛を“せいちゃん”ではなく“聖愛”と呼ぶ。

それだけで言葉に出来ない愛情に包まれ、聖愛はいつも涙が溢れる。

「フフ…また、泣いてる(笑)」
微笑み、優しく聖愛の目元を拭う。

「幸せで…//////」

「ん。僕も、凄く幸せ……!」

「好き…いっくん…/////」

「僕も、大好きだよ!聖愛…!」

布団の上に、二人が沈む。


そうして――――二人の甘くて熱い夜がゆっくり流れていった。
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