いっくんのお気に入り♡
フミヤの大きな背中を見ていると、高校の時を思い出す。

(いつもこんな風に守ってくれたんだよなぁ〜)

こうゆうところ、壱茶に似ている。

(あ、そうだ。
フミヤくんとなんとなく似てたから、いっくんを好きになったんだ……!
………………//////ど、どうしよう…
いっくんに会いたくなってきた//////)

「聖愛?大丈夫?」

「へ?あ…う、うん」

「とりあえず、並ぼうよ!
めっちゃ暑いし!」

四人は、最後尾に並んだ。

更にしばらくすると――――

聖愛達の二組後に、ぞろぞろと男女のグループがやって来た。

「ん?あれ、マリア様の旦那じゃね?」
「え?あ!
聖愛!壱茶くんだよ!」

「え…!?
あ……」
ヒビトとアツコが順に聖愛に言い、振り向くと…
壱茶が、下園達と団体でシャーベット店に来ていた。

聖愛は嬉しくなって、声をかけようとする。

しかし……
一瞬で考えを巡らせた。

ここで自分が声をかけたら、壱茶の迷惑にならないだろうか。
壱茶の妻が、自分のような地味な女だって知られたら……と。

壱茶やアツコ達がいくら“可愛い”と言ってくれても、自分が地味でつり合わないのは変わらない。

「声かけないの?」
アツコが聞いてくる。

「うん…でも、迷惑じゃないかな?」

「は?」
「迷惑?
マリア様、何言ってんの?」
アツコとヒビトが、怪訝そうに続けて言った。

「壱茶くんは“正真正銘”聖愛の旦那でしょ!?」
「なのに、迷惑ってなんだよ!」
アツコとヒビトは、怒っている。

「お似合いだね!」
そんな中、フミヤが微笑み言った。

「え?」

「お似合いだよ?二人」

「そ…かな?」

「うん、だから自信持ちなよ!」

「うん…!ありがとう!」

そう。
こうやって、私の不安を拭ってくれる人。
それが、フミヤくんだ…!

「紹介して?
聖愛の旦那」

「うん…!」

聖愛は、フミヤ達と壱茶のいるグループの所に向かった。

「い、いっくん…」

上手く、声が出ない。
ざわざわとした他の客達の声にかき消される。

「え……せいちゃん!!?」
バッと振り返った、壱茶。

しかし………壱茶はちゃんとその声を拾い、反応してくれた。
そして、駆け寄り嬉しそうに笑った。

自然と、聖愛も笑顔になる。
< 24 / 51 >

この作品をシェア

pagetop