いっくんのお気に入り♡
「ん?どうして謝るの?」

「だって私…
私、モテたくてあんなこと言ったわけじゃないの。
いっくんの、迷惑になりたくなくて…」

「は?迷惑?
どうして、せいちゃんが迷惑なの?」

「私はいっくんが人気者なこと、とても嬉しいと思ってる。
誇らしいってゆうか…そんな人気者が私の旦那さんってゆうことが自慢なの!
私みたいな影が薄い女からしたら“いっくんの奥さん”ってゆうことが、私の唯一の存在意義ってゆうか…!
でもそれと同時に、いっくんにとっては迷惑にならないかなって不安でもある。
“私が奥さん”ってことで、いっくんの価値が下がるんじゃないかって……
せっかくのいっくん美しさを、半減させてないかなって!
……………だから、綺麗になりたいの……!」

「……………周りなんて、どうでもいいよ」

「え?」

「僕は……“あの日から”せいちゃんしか見てない。
せいちゃんに好きになってもらう事しか、考えてない。
せいちゃんじゃないと、意味がない。
もし本当に、僕の価値が下がっても…
せいちゃんが僕の奥さんでいてくれるなら、それでいい。
それよりも、これ以上せいちゃんに綺麗になられて誰かに取られる方が嫌だ」

「いっくん…
でも、そんな心配は無用だよ?
そんなの、あり得ないから…!」

「そうかな?」

「うん!
大丈夫、安心して?」
微笑み見上げる、聖愛。

「………」
(でもフミヤって人は、絶対狙ってたよ?)

「ん?いっくん?」

見つめる壱茶を、首を傾げて見上げる聖愛。
壱茶は「ううん!」と首を横に振り、顔を寄せた。

聖愛が照れたように顔を赤くして、ゆっくり目を瞑る。
チュッ!とリップ音をさせて、口唇がくっついて離れた。

フフ…と笑う、聖愛。
聖愛はキスをした後、必ず嬉しそうに笑う。

(せいちゃんの笑顔、ほんと好き/////)
壱茶はその笑顔が特に大好きで、とても幸せな気持ちになるのだ。

「せいちゃん、もう一回!」
「うん…//////」

キスを交わす。
更に壱茶が「もう一回!」と言ってキスをして、また更に口唇を寄せてくる。

「んんっ…いっくん…もう……//////」
軽く押し返す。

「ねぇ…」

「え?//////」
口元で囁く壱茶の顔が間近にあり、更に顔を赤くする。


「これ以上……綺麗にならないで………?」
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