いっくんのお気に入り♡
「あ…ご、ごめんね!つい…」

ハッと気づいたように、頭を下げてくるフミヤ。
聖愛は、ゆっくり首を横に振った。

「せいちゃん?大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」

「聖愛、ほんとごめん!」

「ううん、大丈夫だよ」

壱茶は二人のやりとりを見ながら、考えていた。
(きっと…元彼のことなんだろうな…)と―――――
 
聞きたくないけど、知りたい……!
聖愛のことは、過去も未来も全て。

でも、聖愛は聞かれたくないようだ。

壱茶は考えないようにして、聖愛にコツンと頭をくっつけた。
「楽しい話よ?
ほら、今日はアツコさんの結婚式でしょ?
せいちゃんも、楽しみにしてたもんね!」
「うん…!」

そこに、バスに乗っている女性が話しかけてきた。
「お二人は、どちらの出席者ですか?」

「あ…えーと…」
聖愛が少しビクッと震えて、視線を泳がせた。

「新婦の友人です!」
その隣で、聖愛をカバーするように壱茶が答える。

「そうなんですね!」

「皆さんは、仕事関係とかかな?」

「はい!
みんな、新郎・新婦の仕事関係です!
二人は、社内結婚だから(笑)」

「へぇー
フミヤくんは、どっちで出席?」

「あー、僕は仕事関係だよ!」

「そっか!」

「嬉しそうだね!」

「当たり前でしょ?
新婦の友人として呼ばれてたら、テーブルが一緒になるからね」

「僕はそれでも構わないよ?(笑)」

「僕は嫌だよ(笑)」

「ちょっ…二人とも!」  

「フッ…」
「フフッ…」
慌てて止めに入る聖愛。
しかし、壱茶とフミヤは互いに噴き出して微笑んだ。

「え?え?」

「大丈夫だよ、せいちゃん!」
「喧嘩したりなんかしないよ?」

「………」
(やっぱり、二人ってなんか似てる……(笑))

「あーでもー
ヒビトが言ってたなぁー
“会社関係が多いから、お前には新婦の友人席に行ってもらうかも”って(笑)」


「は?」

フミヤが意味深に笑っていた。
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