いっくんのお気に入り♡
式場に着き、受付を済ませる。

席表を見ると……

「あ…」
「なんで…」

「あ、やっぱり…!(笑)」

フミヤは、友人席に名前が書かれていた。
しかも、聖愛の隣だ。

「せいちゃん、僕と席変わろうね!」
「え?あ、う、うん」

「フフ…」

壱茶と聖愛のやり取りに、フミヤはクスクス笑っていた。


席に座り、式が始めるのを待つ。
「………」
(うぅ…もう、き、緊張してきた…)

聖愛は、友人のお祝いのメッセージを伝えることになっている。
しかも、アツコには内緒で。

アツコは、聖愛にとって大切な親友。
アツコにとっても同じで、アツコはもちろん聖愛からのメッセージが欲しいと思っていたが、聖愛は人前に立つと緊張と不安で倒れそうになる。

それを考慮し、壱茶と出席してくれるだけでいいと言ってくれていた。

友人のメッセージも、他の友人に頼んでいたのだ。

しかし聖愛は“ほかでもないアツコのたった一度の大切な式のため”その友人にお願いして、サプライズでメッセージを伝えさせてほしいとお願いしたのだ。

快く了承してくれ、聖愛はそのために手紙を書いたのだ。

そのため、始まる前から緊張で表情を硬くしている聖愛。
すると……大きな手が重なり、キュッと握ってきた。 
「あ…いっくん…」

「大丈夫だよ!
はい、せいちゃん。深呼吸!
吸って〜〜〜吐いて〜〜〜」

「うん…ありがとう!」


そして………式が始まり、滞りなく楽しく進んでいく―――――――

とても素敵な式で、聖愛は感動していた。

そんな中、従業員から耳打ちされる。
「門川様、この次がご友人からのメッセージです。
ご準備は、宜しいですか?」

「あ…は、はい…!」

「せいちゃん、頑張れ!」
「聖愛、ガンバ!」
「聖愛、落ち着いてやれば大丈夫だからね!」
「聖愛、頑張って!」

壱茶やフミヤ、他の友人達が小声に応援されながらマイクの所へ向かった。


「―――――続きまして、新婦の親友・門川 聖愛様より、友人のメッセージをいただきます!」

司会者に紹介されて、聖愛に注目が集まる。

「……っ…」
聖愛の緊張は、頂点に達した。

「え……嘘…聖愛が……!?」
そんな中、アツコは目を見開き驚愕している。

聖愛は固まりながらも、咄嗟に壱茶を見た。
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