いっくんのお気に入り♡
それから――――二次会に向かった、一行。

ヒビトの友人の経営するバーを貸し切っている。
「今日は、俺とアッコのためにありがとう!
みんな、飲んで楽しみましょう!」

カンパーイ!!!と言って、みんな思い思いに飲み、つまみをつまんでいる。


そして今は、男女別れて飲んでいる。

「――――ねぇ“あいつ”って誰のこと?」

そんな中、壱茶はどうしても気になってフミヤに問いかけた。

「うーん…
聖愛は、聞かれたくないだろうし…」

「何のこと?
俺も気になる!」
ヒビトも話に入ってくる。
フミヤは少しため息をついて、遠くでアツコと話をしている聖愛をチラっと見て「ここだけの話ね…」と言った。

「察しはつくんだろうけど…
聖愛の高校の時の元彼だよ」

「まぁ、そうだろうとは思ったけど」
「“あいつ”って言うくらいだから、とんでもない奴だったっつうこと?」

「うーん…
悪いと言うより…
博愛主義っていうのかな?
根は、凄く良い奴なんだ。
びっくりするくらい“誰にでも”優しくて、別け隔てなく情を捧げる男。
でも聖愛からすれば、傷つくことも多くて…」

「そうなんだ。
だからフミヤくん“あいつと大違い”って言ったんだ」

「うん。
聖愛のことは、好きだったんだと思う。
でも“聖愛と同じくらい”他の子も好きみたいだった。
もちろんあくまでも恋人は聖愛だから、恋人らしいことはしてなかったみたいだけど。
女癖が悪いってわけでもないんだけど、でも平気で聖愛を置いて、他の女とも遊んだりしてたんだ。
その女達は、聖愛から奪うつもりで声かけてたのに……
聖愛からすれば、あいつに全て捧げたからね。
初彼も、ファーストキスも、それ以上も。
それくらい、聖愛にとっては特別だった。
聖愛は“それも良い思い出”って言ってたけど、アッコは怒ってた。
“聖愛が汚された”って(笑)」

「「そうか…」」

「でも、良かった!
今は、本当に幸せそうで!」
そう言って微笑む、フミヤ。

「………」
「………」

「ん?どうしたの?二人とも」

「フミヤってさ」
「せいちゃんが好きなの?」
壱茶とヒビトが同じことを思い、フミヤに問いかける。

「は?
なんで、そうなるの?」

「なんか…な?」
「愛おしそうだよ」

「違うよ!(笑)
妹みたいな感覚だよ。
妹は好きにならないよ!(笑)」

「ふーん」
「だったらいいけど…」

「ちょっ…壱茶くん、怖いよ…(笑)」

「当たり前でしょ?
せいちゃんを好きな男は、敵だから! 
せいちゃんは、僕のだし!」

「おいおい…(笑)」
「ほんと、ベタ惚れだね(笑)」

ヒビトとフミヤが笑っていた。
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