いっくんのお気に入り♡
いっくんの苦しい日々
「――――じゃあ…行ってくるね…」
「うん…」

玄関先で、切ない別れをしている壱茶と聖愛。

しかし、理由は大したことではない。

今日から一泊二日で、壱茶は研修旅行に行くってだけだ。

玄関ドアを開けようとして、振り返る壱茶。
「ん?いっくん?」

「もう一回、キスしてい?」

「フフ…うん…!」

聖愛の頬に触れた壱茶が、聖愛の口唇にキスを落とす。
そのまま何度も角度を変えて深くなって、苦しくなった聖愛が思わずジャケットを掴んで漸く離れた。

「ごめん…口、離せなくて…」

「ううん/////」

「今度こそ、行ってくるね!」

「うん!気を付けてね!
暑いから、体調も気を付けてね!」

名残惜しく手を振り、壱茶が出ていった。

聖愛も切なく手を振り、ドアが閉まった。


「行っちゃった……
……………って!明日帰ってくるのに(笑)
よし!私も準備しなきゃ!」

壱茶が帰ってくる明日は、壱茶の誕生日。
ディナーの予約は前からしていて、今日は誕生日プレゼントを買いに行く。

ついでに、明日壱茶が帰ってきた時にびっくりさせたくて、髪も切ろうと思っている。

聖愛は、バタバタ準備をしてマンションを出ていった。


ハンディファンを片手に街を歩き回って、プレゼントを探す。

「なかなか、ピンと来るのがないなぁ……
あ、美容室行かなきゃ!」

予約時間が迫り、一時中断して美容室に向かった。
イタノが待っていて、いつものように明るく出迎えてくれた。

「こんにちわ〜
今日も暑いですねー!」
「ですね…(笑)」

「今日は、どうされますか?」
「あ、ショートにカットと、髪の毛染めたくて…」 

「はーい!
どんな感じが良いかな〜?
―――――――――」

イタノと一緒に決め、シャンプー台に向かう。
(ショートなんて、中学生以来だな(笑)
フフ…いっくんには、初めて見せるなぁ〜
可愛いって、言ってもらえるかな〜?)
そんなことを考えながら……

そして髪の毛を染めてもらいながら、イタノが声をかけてくる。
「結婚式、どうでした?」

「とても、素敵な式でした!」

「フフ…そうなんですね!
…………あ!手紙、読めました?」

「あ…はい…なんとか…//////」

「良かったですね!」

イタノと楽しく話しながら、穏やかに時間が過ぎていった。
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