いっくんのお気に入り♡
壱茶は着替えるために部屋ヘ向かい、聖愛はキッチンで夕食の準備をしている。
(うぅ…なかなか慣れない…//////)
先程の、抱擁とキス。
二人の“いつもの”挨拶のようなモノだ。
しかもこれを、朝仕事に出ていく時と帰ってきた時の2回するのだ。
(“あんなこと”言わなきゃよかった…)
それは―――――3ヶ月前。
結婚して1ヶ月程経った頃。
たまたまテレビで流れていた、外国人と日本人の夫婦の日常を流した番組を見ていた時のこと。
ごく普通に挨拶で、抱擁やキスをしている夫婦を見た聖愛。
『こんな夫婦、憧れるね……!』
と言ったのが、始まりだ。
それで壱茶が『僕達もしよう!』と言い出したのだ。
しかし、すぐに飽きるだろうと思っていた聖愛。
それどころか、壱茶は幸せそうに聖愛を抱き締め、キスをするのだ。
壱茶がスウェットに着替えて戻って来る。
「今日のご飯はなぁに?」
そう言いながら、後ろから覗き込んできた。
「今日は、ハンバーグだよ…!」
「おっ!いいね〜!
僕も手伝うよ!」
「え?い、いいよ!
いっくんは、座ってて?」
「どうして?
一緒にしようよ!」
「いいから!」
聖愛は、壱茶の背中を押しソファに座らせた。
「お茶入れるね!
どうする?
温かいの?冷たいの?」
「冷たいので」
「はい!」
パタパタ…とキッチンに向かい、お茶をグラスに注ぎローテーブルに置いた。
「ありがとう!」
「あ!苺食べる?
美味しそうなのがあったんだよ!」
「うーん…
今後にするよ」
「わかった!」
微笑み、キッチンに戻る聖愛。
壱茶は、聖愛をずっと目で追っていた。
小動物のように、パタパタ動き回って可愛い。
「――――よし!」
と言った、聖愛。
出来た食事を、テーブルに運ぼうとする。
壱茶はすかさず、手伝いに向かう。
しかし……
「あ!いっくんは座ってて?
出来たら、呼ぶから!
テレビ見てて?」
聖愛は、壱茶に家事をさせようとしない。
手伝いさえも。
壱茶としては、できる限り一緒にしたいと思っている。
母親の苦労を知っているから。
壱茶の母親は、いわゆる昭和の妻そのモノだった。
亭主関白な父親に文句一つ言わず、家事、壱茶の教育や子育て、更に姑の世話までしていた。
父親の仕事が忙しかったのもあるが、仕事以外を全て母親が行っていた。
それでも、文句どころか“お父さんのおかけで私達は、幸せに暮らしていけてる”と言っていた。
その結果……
母親は過労で、壱茶が中学生の時に亡くなったのだ。
壱茶は、そんな母親が哀れに思えていた。
それと同時に“自分は絶対、こんな旦那にはならない”と心に誓っていた。
(うぅ…なかなか慣れない…//////)
先程の、抱擁とキス。
二人の“いつもの”挨拶のようなモノだ。
しかもこれを、朝仕事に出ていく時と帰ってきた時の2回するのだ。
(“あんなこと”言わなきゃよかった…)
それは―――――3ヶ月前。
結婚して1ヶ月程経った頃。
たまたまテレビで流れていた、外国人と日本人の夫婦の日常を流した番組を見ていた時のこと。
ごく普通に挨拶で、抱擁やキスをしている夫婦を見た聖愛。
『こんな夫婦、憧れるね……!』
と言ったのが、始まりだ。
それで壱茶が『僕達もしよう!』と言い出したのだ。
しかし、すぐに飽きるだろうと思っていた聖愛。
それどころか、壱茶は幸せそうに聖愛を抱き締め、キスをするのだ。
壱茶がスウェットに着替えて戻って来る。
「今日のご飯はなぁに?」
そう言いながら、後ろから覗き込んできた。
「今日は、ハンバーグだよ…!」
「おっ!いいね〜!
僕も手伝うよ!」
「え?い、いいよ!
いっくんは、座ってて?」
「どうして?
一緒にしようよ!」
「いいから!」
聖愛は、壱茶の背中を押しソファに座らせた。
「お茶入れるね!
どうする?
温かいの?冷たいの?」
「冷たいので」
「はい!」
パタパタ…とキッチンに向かい、お茶をグラスに注ぎローテーブルに置いた。
「ありがとう!」
「あ!苺食べる?
美味しそうなのがあったんだよ!」
「うーん…
今後にするよ」
「わかった!」
微笑み、キッチンに戻る聖愛。
壱茶は、聖愛をずっと目で追っていた。
小動物のように、パタパタ動き回って可愛い。
「――――よし!」
と言った、聖愛。
出来た食事を、テーブルに運ぼうとする。
壱茶はすかさず、手伝いに向かう。
しかし……
「あ!いっくんは座ってて?
出来たら、呼ぶから!
テレビ見てて?」
聖愛は、壱茶に家事をさせようとしない。
手伝いさえも。
壱茶としては、できる限り一緒にしたいと思っている。
母親の苦労を知っているから。
壱茶の母親は、いわゆる昭和の妻そのモノだった。
亭主関白な父親に文句一つ言わず、家事、壱茶の教育や子育て、更に姑の世話までしていた。
父親の仕事が忙しかったのもあるが、仕事以外を全て母親が行っていた。
それでも、文句どころか“お父さんのおかけで私達は、幸せに暮らしていけてる”と言っていた。
その結果……
母親は過労で、壱茶が中学生の時に亡くなったのだ。
壱茶は、そんな母親が哀れに思えていた。
それと同時に“自分は絶対、こんな旦那にはならない”と心に誓っていた。