いっくんのお気に入り♡
鞠野は、大胆にも壱茶のスマホを取った。

そして、指紋認証でロックを解除した。
ホーム画面が表示される。

そこには、壱茶と聖愛のツーショットが写し出されていた。
結婚式の時の写真で、壱茶はタキシード、聖愛はウェディングドレスを着ている。

それを睨みつけるように見て、カメラを起動する。
そしてまた大胆にも鞠野は、着ていたブラウスを脱いで下着姿になった。

更に、浴衣姿の壱茶の浴衣を少しはだけさせ、隣に横になったのだ。

そしてインカメラで、壱茶と自身の姿の写真を撮ったのだ。

撮られた写真を確認する。
そこに写し出されたモノは、どう見ても壱茶と鞠野のセックス後のような写真だ。

フフ…!と微笑み、今度はその写真を自分のスマホにメール送信する。

あいにく壱茶とは、電話か電子メールでしかやり取りしないからだ。
(もちろん、仕事のメールのみ)

そして、撮った写真を消去した。

「これでよし!!
あとは……」
更に、送信メールも消去する。

「よし!完璧!
これなら、誰にもバレない」

ちょっとした、悪戯心。
自分だけが、壱茶の彼女気分をあじわうための、ちょっとしたこと。

そして鞠野は、満足したように部屋を出た。


「――――――…………
うぅ……オェッ…!!」

時間は、夜中の3時半頃。

トイレ内に“聖愛の嘔吐する苦しい声が響いている”

リビングのテーブルの上には、聖愛のスマホ。

画面には、壱茶と鞠野の“例の写真”


なんと鞠野は……間違って聖愛にメール送信していたのだ。

壱茶のスマホ内の電話帳。
聖愛の下が、鞠野だったから。

聖愛はあまりのショックに、嘔吐を繰り返していた。


次の日。
聖愛の待つ自宅マンションに、足早に帰った壱茶。

壱茶が見たモノは………

リビングのテーブルの上。

壱茶へのプレゼントと、一枚の手紙。

その手紙には―――――――


【しばらく、実家に帰ります】


聖愛の綺麗な字だけだった…………

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