いっくんのお気に入り♡
「そう…だったんだ……
良かっ…た……」

聖愛は、その場に力が抜けたようにへたり込んだ。
「聖愛!?」
アツコが咄嗟に支える。

「せいちゃん!!?」
壱茶も、慌てて聖愛を反対側から支えた。

「いっくん、ごめんなさい。
私…あの写真を見た時、いっくんに“別れ話を切り出される”と思って、怖くて、少しでもいっくんを繋ぎ止めるために家を出たの……
話ができない間は、別れなくて済むって。
いっくんから逃げたの。ごめんなさい。
もっと早く、話し合うべきだった。
ごめんなさい…ごめんなさい……!」

壱茶は、首を横に振る。
「謝らなきゃなのは、僕の方だよ?
気づいてあげられなくて、ごめんね?
傷つけて、ごめんね!」

「ううん。もう、いいの。
嘘ってわかったから、もういい……!」 

聖愛は、二週間ぶりに笑った。

「せいちゃん、抱き締めてい?」

「いっくん…」

「お願い!
せいちゃんに、おもいっきり触れたい……!」

聖愛は微笑み、両手を広げた。
壱茶も嬉しそうに、聖愛を抱き締めた。

「せいちゃん…せいちゃん……」 

もう…絶対、離さない……!!

そんな思いで、壱茶は強く聖愛を抱き締めていた。


アツコにお礼を言い、壱茶と聖愛は二人で自宅マンションに帰り……

「せいちゃん、ごめん。
このまま、寝室行こ?」

壱茶が、寝室に連れて行く。

そして、ベッドに押し倒した。
「抱かせて?
おもいっきり…
“せいちゃんはここにいる”って、実感したいんだ……!」

「……/////」
顔を赤くして小さく頷く聖愛に、壱茶は喰らいつくように口唇を奪った――――――


……………良かった…せいちゃんが腕の中にいる…

不安で何度も押し潰されそうになっていた、この二週間。

もう二度とせいちゃんに会えないんじゃないかって、食事も喉を通らなかった。

“今日こそは会ってもらえるかな?”と毎日期待して、魂が抜かれたように実家を去る日々。

ただ息をするのも、苦しくなっていた。


壱茶はやっと腕の中に戻ってきた聖愛を、何度も、何度も貪っていた。
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