いっくんのお気に入り♡
「よし!出来たよ!」

聖愛に声をかけられ、ダイニングチェアに座る。 
「何飲む?
お茶?ビール?それとも…」

「お茶で!」

「わかった!」
麦茶を持ってきて、グラスに注いだ。

「食べてい?」
壱茶が聞くと、聖愛は「どうぞ?」と微笑んだ。

“いただきます!”と言って食べ始めた、壱茶。
「どう…かな?」
それを、心配そうに覗き込んだ。

「うん!美味しいよ?」

「良かった…
あ、でも!
口に合わない物があったら、遠慮なく言ってね!」

「うん、でも本当に美味しいよ!」

それからも聖愛は、甲斐甲斐しく壱茶に声かけ世話をする。

「おかわり大丈夫?」
「お茶、入れるね!」
「もし、これで足りなかったら何か作ろうか?」
と…………

「せいちゃん」

結婚して4ヶ月程。
ずっとこんな感じの食卓。
聖愛は、ゆっくり“座る”ことがない。

壱茶は思いきって、伝えることにした。

「ん?」

「せいちゃんと僕の関係は、何?」

「え?」

「せいちゃんと、僕の関係」

「え?え?
ふ、夫婦…//////だよ」

「うん、そうだね」

「うん」

「だからね。
やめよう?
そうやって、僕に気を遣うの」

「あ…う、うん…」

「ほんとは、ずっと思ってたんだ。
でもせいちゃん、いつも一生懸命だから、言うと傷つけるかな?って思って…
おかわりやお茶注ぐのも、自分でするよ? 
せいちゃんが作ってくれる料理はどれも美味しいし、量もちょうどいい。
毎日は僕もきついけど、たまには一緒に料理したり、手伝ったりしたい!
…………大丈夫。
僕は、せいちゃんと“一生一緒にいたいと思ったから”結婚したんだ!
だから例えば家事ができなくても、嫌いになったりしない。
例えば一日何も出来ない日があっても、怒ったりしないし、それで別れたりしない。
大丈夫だから……!」

「いっくん…/////
うん…!
ありがとう!」

“大丈夫だから”
壱茶の言葉と笑顔に、聖愛も嬉しそうに笑った。


それから――――片付けは、二人一緒に行った。

「ありがとう、いっくん」
「ううん!
楽しいね!
一緒に何かをするって!」

「うん…!
あ、コーヒー淹れようと思うんだけど飲む?」
「うん!ありがとう!」

そしてソファに並んで座り、コーヒーを仲良く飲みながらゆっくり過ごす。
壱茶が、聖愛の頭をゆっくり撫でる。

「フフ…!」
照れたようにはにかむ、聖愛。

「可愛い…!」

「……/////」
(いやいや…いっくんは、綺麗すぎるよ…!!)
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