いっくんのお気に入り♡
せいちゃんを選んだ決め手
僕は幼少期、今の僕とは正反対だった。
背が小さくて、少し太ってて、それに笑顔を知らなかった。
僕の両親は共働きで、ほとんど“家族で過ごしたことがない”
いつも忙しくて、僕の相手は家政婦のニドウさんだけだった。
友達もいなくて、いつも一人だった僕。
ニドウさんはロボットみたいな人で、家事や僕の世話は完璧だったけど、まるで機械みたいに業務をこなすだけだったから。
そんな時に出逢ったのが、せいちゃんだ――――――
せいちゃんは覚えてないようだが、僕達は小学生の時に出逢っている。
僕の住むタワマンの近くの公園。
そこにいつもせいちゃんはいた。
せいちゃんは母親とよく来てて、僕と違っていつも笑っていた。
その笑顔が眩しくて、羨ましくて、僕はせいちゃんと友達になりたくて話しかけた。
人見知りのせいちゃん。
最初はいつも母親の後ろに隠れて、僕には笑顔を見せてくれなかった。
でも毎日話しかけてると、次第に僕に笑ってくれるようになったんだ。
そんな時、せいちゃんが言った。
『サキミヤくんは、どうして笑ってくれないの?』と。
あ!
“サキミヤ”ってのは、僕の旧姓ね。
僕が中学生の時、親が離婚したから。
『笑い方がわからない。
教えて?』
と言うと、せいちゃんはクスクスって笑って言った。
『笑い方は、教わるモノじゃないよ?
ママが言ってた。
“感情は、教えてもらうものじゃない。
自分で掴むもの”だって!』
『そうなの?』
『うん!
だから………
“私が、笑わせてあげる”』
そう言ってくれたんだ。
次の日からせいちゃんは、お笑いのビデオや雑誌などを持ってきて僕に見せた。
そしてある日。
『初めて作ったの!』
と、手作りのクッキーを作ってきてくれた。
そのクッキーは味がしなくて、正直美味しくなかった。
するとせいちゃんが……
『んんっ!!
これ、何!?
不味い!!!』
眉間にシワを寄せて、言ったせいちゃん。
その瞬間………
『フフッ…!!』
僕は思わず、噴き出してしまった。
『え……サキミヤ…くん?』
目を見開くせいちゃん。
『え?』
『笑った!
初めて、笑ってくれたね!!』
せいちゃんが、今までで一番綺麗な笑顔で言ったんだ。
背が小さくて、少し太ってて、それに笑顔を知らなかった。
僕の両親は共働きで、ほとんど“家族で過ごしたことがない”
いつも忙しくて、僕の相手は家政婦のニドウさんだけだった。
友達もいなくて、いつも一人だった僕。
ニドウさんはロボットみたいな人で、家事や僕の世話は完璧だったけど、まるで機械みたいに業務をこなすだけだったから。
そんな時に出逢ったのが、せいちゃんだ――――――
せいちゃんは覚えてないようだが、僕達は小学生の時に出逢っている。
僕の住むタワマンの近くの公園。
そこにいつもせいちゃんはいた。
せいちゃんは母親とよく来てて、僕と違っていつも笑っていた。
その笑顔が眩しくて、羨ましくて、僕はせいちゃんと友達になりたくて話しかけた。
人見知りのせいちゃん。
最初はいつも母親の後ろに隠れて、僕には笑顔を見せてくれなかった。
でも毎日話しかけてると、次第に僕に笑ってくれるようになったんだ。
そんな時、せいちゃんが言った。
『サキミヤくんは、どうして笑ってくれないの?』と。
あ!
“サキミヤ”ってのは、僕の旧姓ね。
僕が中学生の時、親が離婚したから。
『笑い方がわからない。
教えて?』
と言うと、せいちゃんはクスクスって笑って言った。
『笑い方は、教わるモノじゃないよ?
ママが言ってた。
“感情は、教えてもらうものじゃない。
自分で掴むもの”だって!』
『そうなの?』
『うん!
だから………
“私が、笑わせてあげる”』
そう言ってくれたんだ。
次の日からせいちゃんは、お笑いのビデオや雑誌などを持ってきて僕に見せた。
そしてある日。
『初めて作ったの!』
と、手作りのクッキーを作ってきてくれた。
そのクッキーは味がしなくて、正直美味しくなかった。
するとせいちゃんが……
『んんっ!!
これ、何!?
不味い!!!』
眉間にシワを寄せて、言ったせいちゃん。
その瞬間………
『フフッ…!!』
僕は思わず、噴き出してしまった。
『え……サキミヤ…くん?』
目を見開くせいちゃん。
『え?』
『笑った!
初めて、笑ってくれたね!!』
せいちゃんが、今までで一番綺麗な笑顔で言ったんだ。