いっくんのお気に入り♡
「ひゃぁ!?」
突然のことに、思わず変な声が出る。

『え!?ど、どうしたの!?』

「あ…ご、ごめん…
な、何もないよ……!
………………いっくん…だめ…」
イヤイヤ!という風に首を横に振り、更に頬を擦り寄せてくる壱茶。

(や、やめてぇー!!
話に集中出来ないよぉ〜)

『あ、それでね!
私明日、彼と青神のイベントに行くって話したじゃん?
青い神様展!』

「あー、うん…!
いいなぁ〜」

『うん…でも、行けなくなったの…』

「え!?」

『彼が、体調崩しちゃって…
……って言っても、ただの風邪なんだけど…(笑)
ほら私達、結婚式近いし無理するのやめよって話になって!
だから、聖愛にあげようかなって!
どう?
壱茶くん、明日休みだよね?仕事』

「私は嬉しいけど…
いっくんに聞いて―――――」
すると壱茶が、アツコの声が聞こえていたようで、逆の耳元で「いいよ!行こ?」と囁いた。

前売りのチケットを明朝ポストに入れてくれるということで、お礼を言って切った聖愛。

壱茶に向き直った。
「いっくん、ダメだよ」

「ん?何が?」

「電話中に抱きつかれたら、話に集中出来ないの…」

「ごめんね。
でも、寂しかったから…」

「あ…ごめんね、そうだよね…」

「ううん!
でも、明日楽しみだね、青神!」

「うん!」

「せいちゃんは、推しいるの?」

「え?あ…」
(リョウ、好きなんだよなぁ…)

「誰?」

「リョウだよ」

「へぇー、どんなところがお気に入りなの?」
微笑み言う、壱茶。

「………」
(こ、怖いよぉ…)

例の、不快の笑顔だ。
聖愛は、ビクッと震える。

「教えて?
せいちゃんの心を奪った彼のこと知りたいな?」

「え、笑顔、好きなの…」

「へぇー、そうなんだぁ。
僕も、学ばなきゃだね。
リョウの笑顔」

「いっくんはいないの?
お、推し」

「僕の推しは、せいちゃんだよ!」

「………」

「………」

「………え…!?」

「せいちゃん以外にいるわけないでしょ?」

「……/////
わ、私が言ってるのは、アルドルとかの…」 

「だったらいないよ」

「……/////」

「フフ…、ほんっと可愛いね!」


いやいや…だから…!!

いっくん…美的感覚、おかしいって………
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