不登校少女、殻を破る。
「学校、本当は行きたいんだよね?」

トーストに蜂蜜をかけていたら、母にこう聞かれた。

私は「うん」と答えた。
そう答えるべきだと思ったから。

本当はそうでもない。というかわからない。
勉強が遅れていることを除けば、学校自体、嫌というほどではない。
けど、行きたいわけでもない。

だけどそれをお母さんに伝えたら、きっと悲しい顔をする。
だから「行きたくても行けないフリ」をする。



私は病気なのではないかとはじめは疑った。
学校に行けないのには何か理由があるはずだ、と。

理由がないと、周囲に認められない気がしたから。
甘えだと責められるのが怖くて、理由を探した。

だけど今のところ何も見つからない。

いじめのもなければ、おそらく精神病でもない。
試しにうつ病をインターネットで検索してみたけど……
気分が落ち込むことはあっても、無力感や全てのやる気がなくなったわけではない……と思う。
「これは違う」と思った。

いっそのこと病気だったら、正当な理由づけができるのに。

一瞬そう思った私がいて、心の中で当事者たちに謝った。

精神病をネットで調べることはあっても、実際に精神科に行ったことはない。
なんの症状もありませんでしたと正面から言われるのが怖いから。

病気はきっと辛い。
だけどなんの診断も下されずにただ生きづらさを抱えながらふわふわ漂うのもまた辛いのだ。
< 2 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop