不登校少女、殻を破る。
そんなこともあるんだなぁとしみじみ思っていたら、また返事がきた。
『授業のノート、いる?』
「えっ」
思わず声が出た。
今まで友達にも聞かれたことがなかったからだ。
自習しているとはいえ、要点をつかめている自信はない。
ノートで重要な点がわかればどれだけ良いだろう。
しかし不登校になってから1ヶ月。ノートのページ数なんてさかのぼれば膨大な量だ。
ノートを写真に撮ってメッセージで送るにしたって、時間のかかる作業だ。
断ろうかと考えあぐねていたところ、またメッセージが来た。
『とりあえず送っとく』
というメッセージの後に、教科別に名前のついたZipファイルが次々と送られてきた。
「わ、わわわ」
ポコンポコンと軽快な音を鳴らして送られてくるファイル達を呆然とながめながら、もうすでに準備していたのかとおどろいた。てっきり今から写真を撮るのかと……。
『これで全部。迷惑じゃなければ明日も送るけど』
あ、明日も!?
あああ、とりあえず送ってくれたことへのお礼を伝えなきゃ。
『ありがとう。本当に助かるよ!』
送った後に、変な文章だったかなとちょっぴり後悔した。
Zipファイルを解凍すると、ノートの写真をPDFにまとめたものが出てきた。
それも、ただ写真を撮っただけのものじゃない。アプリで写真の陰を消してあり、見やすく加工されたものだった。
「一ノ瀬くん、私のために作ってくれたのかな」
なんて淡い期待がふくらんだが、いや、これはもしかしたらタブレットで復習しやすくするために普段からノートを電子化しているのかもしれない。
その可能性に気づき、男子に好意を寄せられているかもなんて淡い期待は壊れた。
彼の送ってくれたノートをタブレット上でめくる。
はじめの方は雑に殴り書きされていた字が、ページをめくるにつれキレイになっているように感じた。
それはどの教科のノートも同じであった。
「習字教室に通い出したのかな」
ともかく、字がキレイで読みやすいのはありがたかった。
同時刻、彼が教室の机に伏せてもだえているのをクラスメイトから不審な目で見られていたことを、彼女は知る由もない。
『授業のノート、いる?』
「えっ」
思わず声が出た。
今まで友達にも聞かれたことがなかったからだ。
自習しているとはいえ、要点をつかめている自信はない。
ノートで重要な点がわかればどれだけ良いだろう。
しかし不登校になってから1ヶ月。ノートのページ数なんてさかのぼれば膨大な量だ。
ノートを写真に撮ってメッセージで送るにしたって、時間のかかる作業だ。
断ろうかと考えあぐねていたところ、またメッセージが来た。
『とりあえず送っとく』
というメッセージの後に、教科別に名前のついたZipファイルが次々と送られてきた。
「わ、わわわ」
ポコンポコンと軽快な音を鳴らして送られてくるファイル達を呆然とながめながら、もうすでに準備していたのかとおどろいた。てっきり今から写真を撮るのかと……。
『これで全部。迷惑じゃなければ明日も送るけど』
あ、明日も!?
あああ、とりあえず送ってくれたことへのお礼を伝えなきゃ。
『ありがとう。本当に助かるよ!』
送った後に、変な文章だったかなとちょっぴり後悔した。
Zipファイルを解凍すると、ノートの写真をPDFにまとめたものが出てきた。
それも、ただ写真を撮っただけのものじゃない。アプリで写真の陰を消してあり、見やすく加工されたものだった。
「一ノ瀬くん、私のために作ってくれたのかな」
なんて淡い期待がふくらんだが、いや、これはもしかしたらタブレットで復習しやすくするために普段からノートを電子化しているのかもしれない。
その可能性に気づき、男子に好意を寄せられているかもなんて淡い期待は壊れた。
彼の送ってくれたノートをタブレット上でめくる。
はじめの方は雑に殴り書きされていた字が、ページをめくるにつれキレイになっているように感じた。
それはどの教科のノートも同じであった。
「習字教室に通い出したのかな」
ともかく、字がキレイで読みやすいのはありがたかった。
同時刻、彼が教室の机に伏せてもだえているのをクラスメイトから不審な目で見られていたことを、彼女は知る由もない。