イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
電車組の集団が見えてきたので、歩を進めて彼らの中に紛れ込む。


気にしたら負け、気にしたら負け。
平常心平常心。


視界の端から視線を感じたが、瀬那がたくさん話を振ってくれたおかげか、声をかけられることはなく。

無事に校門を突破し、教室にたどり着いたのだった。







5時間目を終えた休み時間。



「希歩……」



水分補給中、瀬那が弱々しい声で私を呼んだ。

顔を向けてみると、前髪の隙間から下がった眉尻が見えている。



「どうしたの?」

「ごめん……今日、一緒に帰れないかも」



手にはスマホ。

なんとなく予想がつきながらも理由を尋ねてみたら、母親から買い物の付き添いを頼まれたのだと。



「4時半からタイムセールが始まるみたいで。学校から直行しようかとも考えたんだけど、それだと間に合わないよなって……」
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