イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
隣で寝ているキュルくんを起こさないよう、小声で話す。


疚しいことは一切ない。
昨日部屋に入れた時も同じくらいの時間だった。


それなのに胸の鼓動が激しいのは……家中が静かだから。あとお弁当の件でヒヤヒヤしたせい。多分きっと。


青倉は隅に積まれた座布団を1つ取ると、私の布団から枕1個分ほど離して置いた。

自分も布団に入ってリモコンを手に取る。



「じゃあ、消すね」

「はいよー」



電気を消し、イルカの抱き枕を抱えて仰向けに寝転んだ。



「……」

「……」



近所の公園からだろうか。リーンリーンと虫の鳴き声が聞こえてくる。


住宅街でも地域によって全然違うんだなぁ。実家では車の音しかしなかった。


彼らの演奏に耳を澄ませながら深呼吸を繰り返して、眠気を引き出そうとするけれど……。



「……青倉」

「ん?」

「……今日は、色々とありがとね」



慣れない体勢なのも相まってか落ち着かず、口を開いてしまった。
< 34 / 156 >

この作品をシェア

pagetop