イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
「英も行く?」

「私は後でいいや。ちょっと休憩したいし」

「俺も。もうちょい回復したら行こうかな」



梨子ちゃんの荷物を真ん中に置いて、休憩スペースのベンチに腰かけた。

バッグから水筒を取り出し、のどを潤す。



「青倉は、ここの水族館は、来たことあるんだっけ」

「うん。キュルが来る前だったから、小1か小2? 梨子はまだ幼稚園入ってなかった気がする」

「へ、へぇ〜。じゃあ、10年ぶりなんだ」

「そうだな。でもイルカ以外どんなのがいたかはあんま覚えてねーから、ほぼ初めてって感じ」

「そっかそっか。だよね〜」



自分から話を切り出したくせに、途切れ途切れでしか返せず。

チラリと横目で様子をうかがうも、何食わぬ顔でパンフレットを見ていた。


なにその顔。緊張してるのは私だけ?


途端に悔しくなって、水筒のお茶をゴクゴクと飲み、はぁ、と小さく溜め息をつく。



『そんなに騒いだら、また来ちゃうよ?』

『もー、そんなに怒んないの。可愛い顔が台無しだぞー』
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