イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
「俺、パニックになって全然動けなくってさ。まともに戦うこともできなかったのに、『怖かったな。もう大丈夫だよ』って抱きしめてくれて。マジ泣きそうだった」

「大変だったね。無事で良かったよ。にしても網で捕獲って発想がすごいな。大人だからなのかもだけど、度胸あるよね〜」

「あぁほんと。かっこよすぎて……手強いよ」



ボソッと呟かれた謎の一言。


手強い……? 先生と勝負でもしてるの?

気になったものの、声のトーンからして多分独り言。追及するほどのことでもないか。


聞こえなかったふりをして、ドクターフィッシュと戯れる梨子ちゃんを眺めた。







午後4時過ぎ。

水族館に別れを告げ、私達3人は両手いっぱいの荷物とともに電車に乗り込んだ。



「座った途端寝るって、図々しいにもほどがあるだろ……」

「朝からはしゃぎ回ってたもんね。荷物こっちに置く?」

「いいの? 窮屈じゃない?」

「大丈夫。まだちょっと余裕あるから。上に乗せると降りる時大変でしょう」

「それもそうだな。わりぃ、半分お願いします」
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