イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
座席の前に立つ青倉からお土産が入ったバッグを受け取った。

席を譲ってもらったんだから、せめてこれくらいはしないと。


自分の荷物を背中に移動させ、膝の上に置いた。


バッグの中には、缶ケース入りのクッキーと、イルカ柄のTシャツと青いキャップ。

そして、私と色違いの、青色の小さいイルカが1匹。



「ふふっ、青倉がぬいぐるみかぁ」

「なんだよ、英まで。そんなにおかしい?」

「いやいや。可愛いなぁって」



ムッと口を尖らせる彼から、隣で眠る梨子ちゃんに視線を移す。

大切そうに抱えているトートバッグ。

その開け口から、オレンジ色のイルカが顔を出している。



「お財布、だいぶ寂しくなったんじゃない?」

「いやー、そうでもねーよ? ジャンプすると結構うるさいし。むしろ家出る前よりもめちゃくちゃ重くなってるから全然」



はははと笑っているけれど……うん、これは強がってるな。

会計の時、『これもお願い』と追加で渡されたぬいぐるみの値札を見て、顔引きつってたもん。
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