イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
ずるい絡み方をした仕返し。

場を和ませるつもりで口にしただけだった。



「っ……」



そっぽを向かれたと思えば、目が不自然なほどに泳いでいる。


え……なに、その反応は。


そこはいつもの調子で、「なに言ってんだよー!」って笑い飛ばすところでしょ? さっきまで笑ってたじゃん、空元気だったけど。


なのに、なんで動揺してるの。なんで黙り込んでるの。

──どうして、目を合わせてくれないの。



「あのー……聞こえてる?」

「っ、聞こえてる聞こえてる。ごめん、まさか覚えてるとは思わなくて……」



なんだ、ビックリしてただけか。

まぁ、あれから1週間以上経ってるし。何も聞いてこないなら忘れてるとみなすか。



「テストの後空いてるかどうか確認してたんだ。梨子が英と遊びたがってたから。ごめんな、寝る時に聞くやつじゃなかったよな」

「ううん。こっちこそ変なこと言ってごめん」



小さな謎が明かされてスッキリした。


だよね。なわけないじゃん。

今回は思わぬ共通点で繋がったけど、私達はただのクラスメイト。知ったところでなんの意味もない。


沈んでいく夕日をぼんやりと眺めながら帰路に就いた。
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