イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
避難と抱擁
街路樹が色づき始め、制服も冬服に移行した11月。



「ギャ! 出しすぎた! 誰かティッシュ持ってない!?」

「あ、私持ってるよ」

「ありがと委員長! 助かりましたー」



色鉛筆を走らせる手を止めてポケットを漁り、のりで手がベトベトになっている女子生徒にティッシュを渡した。


テストが終わって開放的になったのも束の間。
我が校は文化祭モードに突入した。


先週から本格的に準備が始まり、私達のクラスも放課後の時間を使って毎日作業を行っている。



「ううー、頼むっ。あと少し頑張ってくれ」

「ありゃ、そろそろ寿命っぽいね。私ので良ければ使う?」

「ありがとう〜。大切に使わせていただきます」



ペンケースから赤のペンを取り出し、インク切れのペンと格闘する瀬那に渡した。


机を覆い隠す大量の巨大画用紙。

そこに描かれているのは、メロンパンやクリームパン、焼きそばパンにカレーパンなど、人気のパン達。
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