イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
サンドイッチを持ったままうなだれる。


あいつから避難した翌朝。
ご飯の匂いで目が覚めたら、散らばった座布団が視界に入って、青ざめた。


まさか、寝てる間に潜り込んだ……?


恐ろしい仮説が脳内をよぎったのだが、俺は毎朝彼女に起こされている。

寝相もいいほうではないし、きっと起きた後に転がったのかもしれない。

普段と変わりない彼女を見て、そう解釈した。


けど……日が経つにつれて、その解釈は間違いだったのでは……と思い始め、今に至る。



「やっと仲良くなれたと思ったのに、嫌われたら生きていけねーよぉ……」



英を好きになったのは中2の頃。

当時から才色兼備だと陰で噂されていたが、俺が最初に惚れたのは、外見や成績ではなく、彼女の描く絵と美しい字だった。


一目見たくて、美術の授業中、わざと遠回りして水汲みに行ったり。

学級日誌も日直が回ってくるたびに欠かさずチェックしてた。


仲良くなりたかったのだが、接点やきっかけが見つからず。生徒会の仕事でアンケートを取る時以外は、遠くからこっそりと眺めるだけ。

認知してもらえるよう、教室で友達とワイワイ騒ぐことくらいしかできなかった。
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