イケメンモテ男子と期間限定の同居生活
四方八方から、心配と困惑の声が飛び交ってて。

毎時間盛り上がっていた授業も、今日はお葬式ばりにしーんと静まり返っていた。


戸惑うのも当然だ。


中学では生徒会、高校では部活動と、朝も放課後もあくせく活動。

欠席も年に1・2回程度で、遅刻や早退は私が知る限りはゼロ。


調子が悪くなっても、『病は気から!』『美味いもん食べたら治る!』と言い張って不調を吹き飛ばしていた。


そんなバイタリティに溢れた人間が、なんの前触れもなくお休みだと聞かされたら、驚くに決まってる。


スクールバッグを肩にかけて教室を出ると、校内放送が流れてきた。



“2年1組、英 希歩さん。至急、職員室までお越しください。繰り返します──”



「あちゃー……呼ばれちゃったね」

「あはは……」

「一緒に行こうか? 手つないで」

「ありがとう。でも手は大丈夫」



精一杯の作り笑顔を貼りつけて断り、代わりに腕に手を回す。

周囲を警戒しつつ、瀬那と2人で職員室へ足を運んだ。
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