隣の家の天才クラリネット演奏者が、甘すぎる愛を注いできます
凛也さんのインタビューを読みながら、昨日のことを思い出した。


「では、まず夜に薄着で出歩かないで下さい」

「それと、圧倒的練習不足です。これでバーで演奏をするなんて恥ずかしい」

「ん?今更、怖気(おじけ)付いたりしてませんよね?」


凛也さんの微笑みながらの厳しい言葉。

「絶対、優しくないでしょ……!」

そんなことをしているうちに時計は七時を差そうとしていた。

流石に昨日、凛也さんの教えてもらうことを了承したので行くしかない。

私は靴を履いて家を出る前に、鏡の前に立った。

今日の服装はちゃんと外出用のスカートにブラウス。

鏡の前に立つと、嫌でも昨日の凛也さんのことが頭をよぎった。

「あ、そうだ。明日も今日のような薄着で来たら、襲われても文句言えませんよ?」

動揺してしまった昨日の自分を振り返り、今日は絶対に凛也さんのペースに巻き込まれない!と頬をペチンと叩いた。
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