隣の家の天才クラリネット演奏者が、甘すぎる愛を注いできます
家を出て、凛也さんの家のチャイムをそっと押した。

昨日と同じようにすぐに凛也さんは扉を開けた。

「想乃さん、こんばんは」

「こんばんは……!」

凛也さんが視線を下げて、私の服装を確認したのが分かった。

「今日はちゃんとしっかりした格好をしていますね」

凛也さんに褒められて「はい!」と返した私に、凛也さんが微笑んだ。

「可愛いですね、想乃さん」

「っ!?」

凛也さんの言葉に顔に熱が集まったのが分かった。

しかし、次の凛也さんの言葉で私は顔が赤くなってしまったことを後悔する。

「昨日はボサボサの髪でしたから」

「え?」

「それに多分昨日はすっぴん……」

「ちょっと待って下さい!」

凛也さんの言葉を私は遮った。

「……凛也さん、もしかしてからかってますか?」

「本心を言っただけですよ。さ、練習を始めましょう」

凛也さんが家に入りながら、こちらを見もせずにそう答えた。

絶対にからかわれている……というか、遊ばれている……。
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